ふじみ野市の大井みどり動物病院です。
 

『プロフェッショナル仕事の流儀』という有名な番組があります。
 

詳しくありませんが、困難を克服し、挫折を味わいながら、最後はやりとげる、という内容が多いと思います。夢、想い、絆、情熱、葛藤など、そういった心理描写が目立ちます。
 

当院が考える仕事とは、上記とは逆の方向性であり、もっとクールなものと考えています。むしろ、そういった感情や気持ちは不要と考えます。
 

いかに、楽に、要領よく、最小限の労力で目的を達成するかを重要視します。いかに頑張って仕事をしないか、ともいえます。
 

例えば、おとなしくない腎不全のある猫の尿道閉塞を、カテーテルで解除することがあります。
 

以前勤務医だった病院では、看護師２人で、暴れる猫を抑えて、カテーテルをなんとか、苦戦しながら、挿入していました。一度入っても、すぐ抜けたり、そのカテーテルを縫合糸で、皮膚に固定することもありますが、これが、なかなか大変でした。
 
 
猫だけでなく、苦戦するほど、私達の気持ちも穏やかではありません。
 

現在、当院では、麻酔薬を使用します。腎不全があっても、適切な麻酔薬を使えば、原則安全です。ある薬を静脈注射した後は、ほとんど猫を抑える必要がありません。力が抜けているので。カテーテルもすっと入り、固定も動かないので簡単にできます。
 

結果、時短になり、猫も、私達の気持ちも、平和です。そして、安全と考えます。

 
うまく表現できませんが、よい仕事とは、切れ味の良いナイフが、すっと入っていくイメージでしょうか？
 

無心で、淡々と仕事をこなす姿ばかりの番組は、面白くなく、視聴率は稼げないと思いますが、こちらの方が仕事としては出来栄えがいいはずです。