2022/10/08
ひろった猫とRS
ふじみ野市の大井みどり動物病院です。
最近、ひろった子猫の健康診断で、来院される方が増えています。
初診の時、栄養不良が、よくありますが、子猫の生命力は強いです。生まれたあと、数日の猫が、低体温症を起こし、意識がない状態から、回復したこともあります。
ですから、ほとんどの場合、すくすく育っていきますが、拾った直後、まれに、急死するケースがあります。
そのひとつに、「リフィーディング症候群(RS)」があります。
私達、獣医師は、最悪のシナリオを常に考え、対応をします。「良くなったら」との仮定はあまりしませんので、可能性はかなり低いですがこのリスクのお話を当院ではしています。
この疾患は、食事をとれない期間が長いので、飢餓状態になり、エネルギーを得るための代謝が変化し、電解質不足になっています。この状況下に、多くの糖質が入ると、急な代謝の変化や電解質の低下により、状態が悪くなることをいいます。
例えば、人が遭難した場合に、すぐに、おにぎりを与えるのは、大変危険ですので、食べてはいけません。少しずつ、糖分を制限した食事を与える必要があります。おにぎり一個は、角砂糖10個分です。
猫も同じで、市販の猫のごはん、例えば、ドライフードは糖質が多く、よく食べるからといって、これらをたくさん与えると、リスクがあります。数日すると、急にぐったりするかもしれません。
こうなると、子猫の治療は制限がかかることも重なり、救命できない可能性が高いです。
猫を拾ったら、食事は与えずに、すぐ、動物病院を受診しましょう。ご飯が食べれない状態が長い、ガリガリの大人の猫も要注意です。
受診できないときは、糖質の少ない、猫缶を少量ずつ与えましょう。
野生の猫科の動物は、獲物がとれず、ガリガリになっていくことがあります。自然界には、糖質の多い甘いものは、ほとんど存在しませんし、そのようなものは猫は食べませんので、RSは自然界にはないのでしょう。
犬も猫も人も糖質は必ずしも必要ではありません。RSは人工的な疾患といえるかもしれません。
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