2022/11/19
しこりの手術2
目的が大切
ふじみ野市の大井みどり動物病院です。
実例を上げると、脾臓にしこりが見つかったあるワンちゃんがいます。
エコー検査をすると、血管肉腫というがんが疑われますが、明らかな転移はなさそうです。
仮にこれが血管肉腫だとして、脾臓を摘出しても、延命が得られるかはわかりません。
検査結果と、手術の難易度は高いものではないので、リスクは大きくはありません。
これをそのままにしておくと、脾臓が破裂して、お腹の中で大出血して、急死することがあります。
手術の目的として、当院では以下をお伝えしました。
- 原則的に安全な手術だが、脾臓がなくなることで、多少免疫低下がおきるかもしれない
- 摘出することで、診断ができる。
- 摘出することで、将来起きうる出血が予防できる。
- 手術をしたことで、進行することがある。(術後短期間で転移がみつかることもある)
- リンパ腫なら、化学療法ができ、延命ができるかもしれない。
- 開腹して肉眼的に臓器を確認すると転移などがみつかるかもしれない。
- 術後血が止まらないことがありうる。
- 手術をしても延命できるかは不明。(短命になることもありうる)
- 症状が特に今ないので、手術は見送ることもできる。
これらをご説明した上で、ご家族は手術を希望しました。(同じ説明をしても、手術をしない方もおられます。何か不都合な症状が認められ次第、それを解決する手術も一つです。)
実際、手術をすると、すでに脾臓のしこりから出血している痕跡が複数ありました。組織検査で、悪性腫瘍の血管肉腫と確定しました。
出血跡があったので、今後大出血を起こした可能性は十分ありましたので、手術をしたメリットは十分ありました。
残念ながら血管肉腫には有効な治療法がありませんが、事実を知ることで、愛犬と過ごす、今後の日々が、価値のあるものになっていくでしょう。
ちなみに、当院では術後の補助療法、あるいは、しこりを小さくする目的で、抗がん剤は使用しない方針です。
このように、手術より、しこりの手術を行うまでの過程やご説明の方が、難しいのです。
「脾臓のがんが疑われるから、すぐ切除しましょう」は理解しやすいですが、それほど単純ではありません。
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