2020/06/14
すって、はいて
ふじみ野市の大井みどり動物病院です。今回は、コロナで話題になった、「人工呼吸器」の話です。
8分。
息ができなくなり、酸素が体に供給されないと、人ではたった8分で、脳に障害が起こることがあります。さらに数分で、命を落とすでしょう。
麻酔は呼吸を止めます。
意識があれば、苦しくて、息をしようとしますが、深めの麻酔をかけると、意識がなくなり、呼吸が止まります。脳が麻痺し、苦しさを感じません。息が止まっているのを知らず、この状態が8分続くと・・・。麻酔中に呼吸を管理することは、一番大事なことです。
獣医師がうまく呼吸をさせます。
動物病院では、麻酔により、犬猫の呼吸が止まることは日常的で、それに慌てる獣医師はいません。考えてみると異質な世界にいますね。どの位で、呼吸がとまるかは、もう体感でも熟知しており、それを予想できます。
呼吸が止まった場合は、人が、呼吸をアシストしないといけません。止まることは予想しており、気管に管が入っているので、その中に、ガス(酸素や空気)を押し込み、肺を膨らませます。これを機械的に行うのが「人工呼吸器」です。
ガスを入れる理屈は簡単ですが、このことは体にとっては自然ではなく、いろいろなデメリットがあります。小さな肺に、たくさんのガスを無理やり押し込むと、肺が傷んでしまうので、ちょうどよい量のガスをいれる必要があり、ちょうどよい回数にしないといけません。
更に、ガスの入れるスピードもちょうどよくないと、肺がうまくふくらまなっかたり、肺が膨らんでいる状態がある程度ないとガス交換ができないし、吐いてすぐ吸ったら苦しくなってしまうし、自分の呼吸がもどってくるとバッテイングしたりと、・・・・。注意点をあげるときりがありません。
換気量計のある高機能なのを、導入。
その中でも大事なのが、換気量なんです。つまり、ガスの入った量と出た量です。実は、動物病院ではこれをモニターできる人工呼吸器は少ないんです。私も現場で使用した経験なかったのですが、今回、新調した人工呼吸器はハイエンドな部類で、このモニターが可能です。いろいろなグラフもでます。呼吸お助け機能の、PSV, PRVCなども可能です。ここまでの機能のある機種は、大学病院にもほとんどありません。
犬猫でそこまでは必要ない、人工呼吸器は単純なものがいいと、よく聞きますが、それでは、進歩がありません。現状維持は退化ですから。
使用感はなかなかいい具合です。
よりよい医療のため、日々、カイゼンしている、ふじみ野市の大井みどり動物病院でした。
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