2023/02/27
鼻から牛乳
ふじみ野市の大井みどり動物病院です。
「鼻から牛乳がでる」ことが心配の一つで、来院したワンコがおられました。
初診であり、ご家族はシニアの保護犬として、迎え入れたばかりで、以前の詳しいことがわかりません。
前医では「歯が原因だけど、麻酔は危険だから、様子をみましょう」と指導されたようです。
確かに、よくあるのは、犬歯が抜けたあとに、その穴がふさがらず、鼻との間にトンネルが完成してしまうことがあります。
このトンネルから飲んだものが出る可能性があります。これがあるかはは一目瞭然で、ぱっと見れば、わかりますが、そのような穴はありません。
また、上顎に亀裂があり、鼻と交通していることもありますが、これもありません。見ればわかります。
飲んだものが、どのような経路をたどり、鼻からでるかは、バリウム検査が有効です。通り道が白く浮き出てきます。
バリウムを飲んでもらって、数枚レントゲン写真を撮ると、喉のあたりに異常がありそうです。
可能性があるのは、喉のあたりのしびれです。ある脳神経に問題があると、飲み込むことが不自由になります。飲み込むのが不自由だと気管に入り、咳き込むことが一般的ですが、それはありません。他の脳神経のほか、手足などのしびれもなく、飲み込む神経だけ、障害を受けることは、あまりないと考えられます。
その他、原因としてありうるのが、軟口蓋(喉ちんこ)の異常です。軟口蓋が伸びすぎることはよくありますが、肉眼的に確認しているので、それはありません。
もうひとつ軟口蓋の異常として、考える必要があるのは、逆の、「軟口蓋の切除しすぎ」です。喉の位置が落ちていることなどを考えると、短頭種起動症候群を患っていた可能性があり、過去に手術をした可能性があります。
昔、外科の先生が、「切除しすぎると鼻から食物がでる」と聞いていたので、知識としては知っていましたが、これを今回初めて疑いました。
肉眼的に見ると、確かに短いようです。
「鼻から牛乳がでるのは、のどのしびれによるもの、軟口蓋切除のしすぎによる」可能性があると、ご家族に説明しました。
正確に診断するには、CT検査が有効ですが、麻酔リスクや外科的に治すことが難しいことから、経過観察となりました。
それが、一番、現実的で、合理的な判断であり、臨床では、これが、非常に大切だと感じています。
結果的に前医と同じ対応ですが、思考過程がまったく違います。
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