ふじみ野市
大井みどり動物病院
水曜休診 
夏季休業なし
10時〜

2023/03/02

本当にサルモネラ症?

きっとその診断はできません
 
マスクの写真
 
 

 

ふじみ野市の大井みどり動物病院です。
 
 
人で、食中毒の一つに「サルモネラ症」があります。
 

犬や猫でもサルモネラ症はあり、昔から、教科書に記載されています。獣医師で、この疾患名を知らない人はいないでしょう。

 

でも、この疾患を正しく正確に診断した獣医師はほとんどいない可能性があります。(血液培養で検出された場合を除く)

 

現在、サルモネラ菌を検出するには、PCR検査で、検出するのが一般的です。この検査はやや高額ですが、糞便を検査センターに提出すれば、簡単に検査ができます。

 

お腹が痛そうで、急に下痢を起こした場合に、糞便のPCR検査を行って、陽性なら、サルモネラ症と診断してしまいそうですが、それほど単純ではありません。

 

単純でない理由は以下があげられます。

 
 

  • もともとサルモネラ菌を保有している可能性があります。
  • サルモネラ菌は環境の至るところに存在します。
  • サルモネラ菌は2500種以上あるとも言われ、病原性をもつものと持たないものがあります。
  • 同様な症状を起こす細菌性の病気は他にもいくつかあります。
  • PCR検査自体、いろいろ、短所があります。
  • 大手の会社のPCR検査は、サルモネラ「属」全体を検出します。
  • 腐肉を食べる性質がある犬はサルモネラに対して耐性が強いと考えられます。

 

ですから、サルモネラ症を確定することは、非常に難しく、疑いの域をでません。
世界の報告を調べても、犬猫で、どのくらいサルモネラ症があるのか、その実態は、調べられていないようです。

 

日本人では、年間の患者数は数百人程度ですが、受診せず、自然に軽快した人は潜在的にいるので、この100倍いる可能性もあるようです。

 


犬猫のルモネラ症はゼロに近いかもしれませんし、急性の下痢の多くがサルモネラ症かもしれません。

 

サルモネラ菌の種別を特殊な培養検査で、調べれば診断ができるかもしれません。あるいは、人のように感染経路を詳しく調べれば、わかるかもしれませんが、現実的ではありません。

 

私は臨床家です。治ればそれでよいので、診断はできなくても問題ありません。急性下痢のほとんどは、数日で治ります。それがサルモネラ症であろうが、なかろうが、あまり関係ありません。

 

ご家族が、便から感染しないように、念の為、下痢を起こしている動物がいる場合は、特に、手洗いや便の片付けに注意する必要があるでしょう。

 

そのような考えですので、当院では便のPCR検査はしません。高額な検査のわりには、混乱を招くことが非常に多いからです。

 

それから、日本で、数年前、おやつのサルモネラ汚染により十数頭のわんこが命を落としました。ここで、どんな検査で、サルモネラを検出したかわかりませんが、PCR検査では、確定はできないはずです。なんともいえませんが、私はサルモネラ症以外の可能性もあると考えます。

 
 
 
 
 


 


 受付時間

受付時間 日祝
9:50-12:45
15:50-18:45

水曜休診
夏季休業なし
12月30日から1月3日休診

049-265-1212