2023/03/02
急性膵炎の薬
ふじみ野市の大井みどり動物病院です。
犬の急性膵炎の注射薬があります。この数年で発売された新薬です。
急性膵炎の他、様々な、炎症性の病気に対して、効果があるかもしれないと、メーカーは営業をしてきます。
冊子を作成し、少ない事例をあげ、さまざまな疾患に対し、効果があるかもしれない、と言葉を選んで、遠回しに、法に触れないように売り込んできます。
本当にその効果があれば、魔法のような薬です。
白血球の働きを抑制する薬なので、過剰な炎症を低減させれば、有効かもしれません。
でも、有効な炎症を抑えると逆効果ですので、注意が必要です。
人の急性膵炎などでは、この類の薬の有効性は証明されていません。
犬と人は違うので、もしかしたら効くかもしれませんが、生理学に大きな違いはないので、現時点では、飛びつくのは早いかもしれません。
効くかどうかを確かめるには、質の良い研究結果が必要です。
一般的に新薬には問題があることがあります。それと、医療キャンペーンをみたら、少し、疑ってみることが大切です。
新薬には莫大な開発費がかかっているので、製薬会社は必死に売り込もうとします。患者数が増えれば、医師の収入も増えます。
ですから、テレビのCMで、うつ病、ワクチン、薄毛、などの医療キャンペーンをみたら、自分で本当にそれが正しいのか調べてみることが大切です。たいていお金が絡んでいて、儲かる人がいます。
この急性の膵炎の薬の場合、複雑な炎症カスケードをひとつ抑えて意味があるのか?体に必要な炎症まで抑えて治りにくくなることはないのか?免疫を抑えることでなにか副作用がでるのか?と疑いの眼でみることが大切です。
薬には副作用が必ずついてきます。
当院は歴史のある古い薬を好んで使用しています。効果と副作用がよくわかっているからです。新薬にもたまによい薬がありますが、確率は高くありません。先人がすでに作ってくれた薬でたいていのことは対応できます。
そういえば、ノーベル賞を取った、オプシーボは、がんの治療の救世主にはなってないようです。
また、最近、日本では例年に比べ、多くの人が亡くなっていているようです。サリドマイドと同じような薬害によるものではないことを願っています。
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