2023/04/03
前十字じんたいの話 1
ふじみ野市の大井みどり動物病院です。
よくある整形学的な疾患として、「前十字靭帯断裂症」があります。
ももとすねの骨をつなぐ靭帯が、切れてしまい、膝がぐらぐらして、足がつきにくくなる疾患です。
原則的には手術が必要ですが、切った靭帯をつなげることはできません。
手術方法で、回復率が高いのは、すねの骨を切り、角度を変える手術ですが、一般的な病院では、設備や技術の関係から、行うところは少ないです。
当院でもこの手術を行う技術や設備はありませんので、行っていません。
当院では、回復率は多少下がりますが、膝の脇に、丈夫な糸をかけ、安定させる手術を行っています。
普通この糸をかける手術は、中型犬以上の大きいワンコには向いていません、また、肥満である場合も、成績がよくありませんので、ダイエットしてから手術する専門医もいます。
その理由は、糸に多く荷重がかかるからです。チワワなど、小型犬であるほど、荷重がかからないので、成績がよくなります。
でも、私は大型犬でも、肥満犬でも、糸をかける手術で、うまくいくと考えています。
私には疑問なのですが、整形外科の専門家も含めて、ほとんどのこの手の手術をする獣医師は、術後、しっかりとしたギプス包帯をあまりしません。
理屈を考えれば、糸が切れたりして効果が減少してしまうのは、足を使ってしまうからです。足先をつき、足首の関節が直角になり、体重がかかれば、糸に負担がかかるので、ギプスをすればそれは防げます。
当院では、推奨されないラブラドールレトリバーなどの大型犬や、肥満犬でも、術後ギプスを用いて、この手術を行い、よい成績がでています。
臨床家は、治すこと、結果をだすことが、使命です。高度医療施設で、手術がうけられないことは多くあります。
私は、術後ギプスをしたほうが、よいと考えていますが、この提案に対して、専門家からは、否定も肯定もなく、その納得できる理由は得られませんでした。
すねの骨を切る手術は痛いですし、高額な費用も発生します。まず、糸をかける手術をして、治らなければ、骨を切る手術がよいと考えています。
それから、老犬で、手術ができない場合に、「ギプスのみ」で症状が消失したこともあります。両方のあしで同時に起こりましたが、なんとかなりました。
そもそも、関節内の状況は考える必要はありますが、手術なし、ギプスだけで、症状が消える場合も意外とあるのではないかと考えています。
様々な制限がかかる現場で、なんとか結果をだすことが、臨床家の役割です。
続く
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