2023/05/23
あぶらっこいものと膵炎1
ふじみ野市の大井みどり動物病院です。
獣医師の世界では、昔から「あぶらっこい」(脂肪)ものを食べすぎると、膵炎(すいえん)になりやすいと、言われています。
調べてみると、確かにそれは、最近の獣医学の内科学のコンセンサスにありますし、獣医栄養学の本にも記載があるようです。
このコンセンサスや成書は、専門家たちの合意で作成されますので、通常、信頼性があります。
でも、人では、摂取した脂肪が、急性膵炎を起こす原因にはならないようですし、脂肪が膵炎を起こす、有力な生理学的な学説もないようです。
犬と人の消化生理は、類似しているので、脂肪が、犬の膵炎を起こしやすいというのには、少々疑問があります。
そのコンセンサスにつながった、各報告も、根拠としては、適切とは言い難いと考えます。(食性の異なるネズミは脂肪食で膵炎になります)
本来、犬は動物性脂肪を好みます。自然の犬の主食は生きた獲物であり、約半分のカロリーを脂肪からとっているという研究があります。
この事実から考えると、脂肪が膵炎を起こすとは考えにくいです。
そのガイドラインの膵炎を起こしやすい他の要因をみると、中性脂肪が高くなる疾患が多いです。
最近の報告では、慢性的に中性脂肪が高くなるのは、糖質(炭水化物の一つ)の過剰摂取が要因の一つと考えられ、むしろ、膵炎を起こすのは、脂肪よりも糖質かもしれません。
食べた脂肪は、食後一時的にに中性脂肪を上昇させますが、糖質をたくさんとっていると、いつも中性脂肪が高くなります。糖質をとったあとは、中性脂肪の上昇はおそらくありません。
糖質と中性脂肪の関係は、あまり成書には記載がないようですが、最近の人での介入実験から、確実にあります。
中性脂肪が高い犬に、膵炎が起きやすいことが知られています。
はるか昔の、犬が食していたものと比較すると、ドライフードの糖質量はかなり多いです。
そう考えると、膵炎を起こす要因のひとつに、ドライフードがあるのかもしれません。
糖質が膵炎を起こすという考えは人の医師でごく一部おられますが、この考えはかなり異端でしょう。
2へ続く
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