2023/05/29
あぶらっこいものと膵炎2
ふじみ野市の大井みどり動物病院です。
骨付きの鶏のもも肉を食べている犬の姿を想像してみます。私は非常に自然である、本来食べるものである一つであると感じます。
鶏肉のもも肉は、カロリーで言うと半分位が、脂肪です。また、究極な食事のひとつ、母乳も、半分位が脂肪です。
でも、ある犬猫の栄養士のような獣医師は、脂肪は危険であると、警鐘を鳴らしています。市販のフードは脂肪が30%以上のものが少ないので、それを超えるものは、高脂肪食と考えているようです。
そうすると、膵炎になるので、もも肉は食べさせてはいけないことになり、野生の犬は、膵炎になりやすい可能性があります。確認のしようはありませんが、自然界で、膵炎を起こしているとは、ちょっと思えません。
同様に、母乳は膵炎を起こしやすくなりますが、そうであれば、大変です。
犬の至適な脂肪の量はわかっていませんから、もしかしたら、逆に市販のフードは脂肪が足りていない可能性があります。その30%は検討する必要があるでしょう。
脂肪は体をつくる材料として大切なものです。脂肪をとらないと、生きていけません。不足すると、病気になりやすくなるでしょう。脂肪を全く食べないと、脂肪飢餓になり命を脅かします。タンパク質も食べないと、生きていけませんが、糖質は体に必須ではないので、糖質飢餓はありません。
昔の自然界には現代のような糖質が多いものはほとんどなく、太古の昔から、人も犬も、主に脂肪からエネルギーを得ていました。諸説ありますが、人の穀物栽培が始まったのは1万年位くらい前からであり、その前は、人も犬も糖質をほとんどとっていなかったようです。糖質をたくさんとるようになったのは、歴史から見れば、ごくごく最近です。犬や猫は糖質の消化吸収ができますが、デフォルトは肉食であり、それに適した消化器官を持っています。
脂肪からは、効率よくエネルギーが得られます。人は良質な脂肪は積極的にとるように最近は脂肪が見直されてきています。脂肪悪玉説は否定されてきています。
脂肪が膵炎を起こしやすいというのは、検証が必要です。もしかしたら、都市伝説レベルかもしれません。脂肪といっても、いろいろありますので、脂肪とひとくくりで言われているのもよくわかりません。
それから、脂肪と糖質が豊富な食べ物は、自然界にはほとんど存在しません。もしかしたら、ドーナツのような精製された糖質と質のよくない脂肪のダブルパンチが、膵炎と関連しているかもしれません。
慢性膵炎では脂肪を制限することが有効なことがありますが、おそらく世界中の獣医師で、だれもあぶらっこいものと急性膵炎の因果関係を証明できる人はいないでしょう。ご存知の方がいたら、教えてください。
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