2023/06/27
食べられなくなったら、天寿
ふじみ野市の大井みどり動物病院です。
生き物はやがて、老衰や病気などで、天寿を迎えます。
それは仕方がないことですが、なるべく一緒にいる時間を長くするために、医療を利用します。
いろいろなケースがありますが、私は、十分医療を施した後、あるいは、かなり高齢の場合、自力で食べられなくなったら、あまり医療は施さず、自然に看取る方がよいという考えです。
無理やり食べさせると、苦しく、吐いてしまうことがあり、体が受け入れられないことがあります。
水も同様で、口元にもっていって、自力で飲むのであればよいですが、無理に与えるのは、やはり避けた方がよいと思います。
経口が無理なら、点滴がよいと考えがちですが、これも、リスクがあります。
臓器の機能が低下しているので、理論上正しいと考えられる輸液の量でも、それを処理することができず、呼吸が悪くなり、かえって、体調が悪くなり、からだの水分が多くなる、「溢水(いっすい)」になる可能性が意外とあります。その結果、肺水腫になり、苦痛が生じるかもしれません。
医療がかえって、逆効果になる可能性があるのです。医学的には正しいはずのことが、裏目にでることがあります。
体はよくできており、様々な状態に、うまく対応しています。そのひとつに、楽に死を迎えられるような機能も備わっているのだと思います。医療はこの働きを阻害することがあるとか考えています。例外もありますが、原則、この考えで、治療にあたっています。
先程、入院治療を断念し、ご自宅で、最期を看取ることになった猫さんがいます。
腎不全であり、尿毒症を起こしており、一ヶ月入院しましたが、下降傾向に入り、食欲がなくなりました。治療の限界です。
傾眠(けいみん)と言って、反応がにぶく、すぐ寝てしまう状態です。尿毒素が原因でしょう。
一節によると、その状態は、尿毒素により、感覚が麻痺しており、麻酔がかかっている様な状態だという考えがあります。確かに、あまり苦痛は感じてないようにみえます。
退院イコール諦めることになるので、判断には少し時間を要しましたが、ご家族は退院を決断されました。
退院後、数日は住み慣れたお家で、ご家族と一緒に、特に好きなお兄ちゃんと過ごせるでしょう。
今のところは、私自身も、状況によりますが、老衰や治療の後、自分で食べられなくなったら、医療に頼らないでしょう。
自分自身だけでなく、犬や猫も、最期はどう迎えるかを、元気なうちに考えていくことは、治療方針で迷うことが少なくなり、よりよく生きることにつながると考えます。
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