ふじみ野市
大井みどり動物病院
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2023/11/23

アボカドの話

種の方が危険?
 
 
 

 

ふじみ野市の大井みどり動物病院です。
 

アボカドはペットに与えてはいけない、というのが常識です。
 

与えてはいけないリストに必ずあがってくる常連です。殺虫剤のような成分がはいっているからです。

 

でも、その主な根拠をたどると、30年くらい前の、たった2例のアボカドを常食していた犬の報告のようです。

 

最近は、アボカドを、犬のフードに取り入れ、健康に役立てようとする考えの方もいるようです。また、アボカドの種類により毒性が違うようです。

 

意外に種類や、皮でなく実であれば、アボカドは犬の健康に寄与する可能性があるかもかもしれませんが、あえて与える理由はないので、やめましょう。

 

一般的に植物というのは薬みたいな性質があるように思います。薬と同じように、よい作用もあるようですが、その分副作用もあるように思います。薬の成分に利用されることもあり、植物から作られる抗がん剤があります。また、植物には足がなく、逃げられないので、身を守るための毒をもっている、と聞いたことがあります。

 

植物は食物繊維として役立つ可能性がありますが、水も含め、摂取するものは、量が多ければ毒性を示します。植物性のものは動物性食品に比べ、そのリスクは高いと考えられます。

 

同じように、にんにくも、与えてはいけないリストの常連食物ですが、ペットフードに添加することがあるようです。微量なら使ってよいのでしょうか?微量添加はメーカーが成せる技で、家庭では難しいからなのでしょうか?

 

獣医学で、常識だと考えられていることを、その根拠まで調べると、信頼性が乏しいことがあります。特に食べ物については不明なことばかりです。

 

臨床家として確実に言えるのは、アボカドの「たね」を誤飲してしまうのは、喉に詰まったり、腸閉塞を起こす可能性があるので、かなり危険だということです。

 

にら、ねぎ、玉ねぎ、チョコレートなども与えてはいけないもの常連ですが、現場では、誤飲しても意外と害がないことがよくあります。明らかなタマネギ中毒は、最後はいつだったか、記憶にありません。チョコレートの誤飲もよくありますが、中毒は経験がありません。

 

その他、食べてはいけないものは、紐などの糸状のもの、うめぼしや桃などの果実の種(特に表面が平滑でないもの)、スポンジ状のマット片などは、緊急手術の常連なので、こちらは特に気をつけましょう。それから、人の飲み薬です。解熱剤や痛み止めの類は特に危険です。また、人工甘味料のキシリトールは危険です。

 

意外と画びょうを誤飲しても、排泄されて、大丈夫なようです。尊敬する日本獣医生命科学大学名誉教授の織間先生から学びました。その通りで、画びょうの誤飲は当院では原則経過観察です。

 

やはり、犬猫において、毒性のあるもの、腸閉塞のリスクのあるものは、植物や植物性食品、加工された食品、人工的に作られたものがほとんどです。


Dainton AN, He F, Bingham TW, Sarlah D, Detweiler KB, Mangian HJ, de Godoy MRC. Nutritional and physico-chemical implications of avocado meal as a novel dietary fiber source in an extruded canine diet. J Anim Sci. 2022 Feb 1;100(2):skac026. doi: 10.1093/jas/skac026. PMID: 35148409; PMCID: PMC8835640.

Buoro IB, Nyamwange SB, Chai D, Munyua SM. Putative avocado toxicity in two dogs. Onderstepoort J Vet Res. 1994 Mar;61(1):107-9. PMID: 7898892.

Padilla-Arellanes S, Salgado-Garciglia R, Báez-Magaña M, Ochoa-Zarzosa A, López-Meza JE. Cytotoxicity of a Lipid-Rich Extract from Native Mexican Avocado Seed (Persea americana var. drymifolia) on Canine Osteosarcoma D-17 Cells and Synergistic Activity with Cytostatic Drugs. Molecules. 2021 Jul 9;26(14):4178. doi: 10.3390/molecules26144178. PMID: 34299459; PMCID: PMC8304388.

 
 


 
追記 2023/12/1
 

ANIMAL POISON CONTROL CENTER

https://www.petpoisonhelpline.com/?s=avocado
から引用


 
「アボカドにはペルシンと呼ばれる毒素が含まれていますが、ペルシンによって中毒になるのは特定の種の動物だけです。犬や猫がペルシンの影響を受けることはほとんどありませんが、アボカド中毒は鳥や大型動物(牛、ヤギ、羊など)にとって致命的となる可能性があります。犬や猫にとってより大きなリスクは、大きなアボカドの種の一部または全部を飲み込んだ場合に、食道、胃、腸管に異物が閉塞することです。アボカドには脂肪分が多く含まれているため、膵炎(膵臓の炎症)が発生する可能性もあります。
 
カナリア、インコ、オカメインコ、大型のオウムなどのペットの鳥には、ペルシンに非常に弱いため、アボカドを決して与えてはいけません。鳥の中毒の兆候には、止まり木に座ることができない、呼吸困難、鳥の心臓と肺の周りの体液の蓄積、肝臓と腎臓の不全、突然死が含まれます。
 
反芻動物や馬も、アボカドやアボカド植物の葉を十分に摂取すると、毒性を発症する可能性があります。経口摂取すると、乳房炎(乳腺の炎症)、口、頭、首、または胸の腫れ、心臓の損傷を引き起こし、死に至る可能性があります。」引用ここまで
 
 
海外の中毒センターは私の考えと同様で、種のリスクの方が高いと考えているようです。やはり、犬猫ではアボカドの毒性はほとんどないようです。
 
アボカドの脂肪分で、お腹を壊す可能性はありますが、私は膵炎になりやすいというのは、違うと考えています。
 
普通の獣医師は、「アボガトは絶対だめ」「アボガドを与えるなんて言語道断」と言いますが、アボカドを犬猫に与えてはいけないというのは、疑問があります。でも、やはり、与える理由はないので、与えないようにしましょう。
 


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