ふじみ野市の大井みどり動物病院です。
 

がんで、命を落とす場合、多くの場合、転移です。一般的に、がんの治療は転移を阻止することが要諦になります。
 

ときおり、ものすごく早い、激しい転移をみることがありますが、私の経験では、このようなケースは、術後に生じることがほとんどです。
 

最近の事例では、くちびるの皮膚の腫瘍を切除したあと、３ヶ月ほどで、喉のリンパ腺がものすごくはれ、皮膚の転移が数か所みられました。リンパ腺は５センチほど両側がはれていましたが、臨床経験において、このような転移は診たことがありません。皮膚への転移は、ほぼ手術のあとに起こっています。
 

本当にこの転移が手術や麻酔によって、引き起こされたかはわかりませんが、手術により転移が急速に進行する可能性があることはお話していました。
 

逆に、手術をしない場合、あるいは抗がん剤をしない場合、腫瘍自体が大きくなっても、意外と頑張って、思ったよりも長く生活できることはよくあります。転移以外の要因で、天寿を迎えることのほうがかなり多いと感じています。
 

これらの経験から、「手術ががんを進行させる」という可能性が考えられます。人の研究報告をみると、その可能性と機序が述べられています。
 

がん細胞が転移を完結させるには、いろいろ大変なようです。
 
 
（その２に続く）




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