ふじみ野市
大井みどり動物病院
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2024/02/06

低血糖は膵炎の後遺症?

グルカゴンなど
 
 
 

 

ふじみ野市の大井みどり動物病院です。
 
 
 
一般的な犬の糖尿病の治療は、インスリン注射です。
 


インスリンには血糖値を下げる働きがあります。量が多すぎれば、血糖値は下がりすぎてしまい、けいれんを起こすこともあり、生命を脅かすことがあります。逆に量が少ないと、高血糖のままで、合併症が生じるため、程よい血糖値となる適切な量の決定が必要です。

 


この血糖値の調整が、うまく行かない場合があります。血糖値が下がりにくい場合と、下がりすぎてしまう場合の2パターンです。

 


下がりにくい場合は、他の病気が絡んでいたりと、成書にはいろいろ記述があり、その原因はよく検討されいます。

 


でも逆に、下がり過ぎてしまう場合に関しては、量が多すぎるということ以外の原因について検討されることが、ほとんどなく、問題視されることが少ないように思います。

 


この理由について、考察してみました。

 


インスリンは膵臓から分泌され血糖値を下げますが、膵臓からはグルカゴンというホルモンいう、逆の作用、血糖値を上昇させるホルモンがでています。

 


血糖値は、血糖値を下げる唯一のホルモン、インスリンと、グルカゴンなど血糖値を上昇させるホルモンなどで複雑に調整されています。

 


インスリンとグルカゴンは、膵臓のそれぞれ、β細胞とα細胞でつくられます。

 


血糖値が下がりすぎてしまうのは、このグルカゴンを分泌する能力低下による、ものが一因と考えられます。低血糖になった場合に、血糖値を上昇させる能力が乏しいのです。

 


また、最近の報告では、自律神経など、膵臓への神経支配の障害も関連していることがわかってきています。

 


犬の膵炎が糖尿病と関連している場合があります。膵炎により、膵臓の細胞が障害を受けます。また、周囲の組織にもその炎症は波及し、様々な神経に障害を与える可能性があります。

 


膵炎の程度により、どの膵細胞やどの神経が障害を受けるかは様々なケースがあると考えられ、その障害のバリエーションにより、インスリン治療により低血糖になりやすい場合があるのではないかと考えています。

 


更に、糖尿病は神経障害を起こすことが知られていますので、膵臓への神経がうまく機能しないこともあるのでしょう。

 


犬の膵炎で、膵炎が関与してない、人の1型と類似しているタイプは、インスリンのみが分泌できず、グルカゴン分泌能や神経機能は正常なので管理が容易なのだと考えています。

 


インスリン治療で低血糖になりやすい場合は、簡単にいえば、膵炎の後遺症があるのだと、考えています。

 
 
 
 

Gilor C, Duesberg C, Elliott DA, Feldman EC, Mundinger TO, Taborsky GJ Jr, Nelson RW, Havel PJ. Co-impairment of autonomic and glucagon responses to insulin-induced hypoglycemia in dogs with naturally occurring insulin-dependent diabetes mellitus. Am J Physiol Endocrinol Metab. 2020 Dec 1;319(6):E1074-E1083. doi: 10.1152/ajpendo.00379.2020. Epub 2020 Oct 12. PMID: 33044845; PMCID: PMC7792666.


 


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