2024/02/13
便の次は尿が出ない
ふじみ野市の大井みどり動物病院です。
当院に特に思い入れの深い猫さんがいます。
拾った子猫のとき、便がうまくでませんした。肛門の出口が狭く、便が細く、すぐ便秘になってしまいます。
「鎖肛(さこう)」という、めずらしい生まれつきの奇形です。このため、定期的に便を出す必要があり、育ちがよくありませんでした。
完全に閉塞すると便が出ないため、あまり生きられませんが、この猫さんはすごく細い便をわずかに出すことができました。
専門家を当院に呼び、手術をしましたが、治らず、私が考案した手術法で、便がでるようになり、すくすく育ちました。
この手術から、10年後、今度は尿が出ません。尿路結石が一因で、何度も尿道閉塞をおこすようになりました。
ペニスの中の尿道が細くなって、一番細いカテーテルがやっと通るくらい太さのため、尿道を広げる手術をしました。
一般的な尿道を広げる手術よりも、合併症が少なく、手術侵襲が少ない包皮(ペニスの皮)を利用した手術を行いました。おそらく、今後メンテナンスフリーです。(一般的な手術の方が、いろいろな看過できない問題が生じることが多いです)
尿道のこの手術は珍しい部類ですが、鎖肛の手術は、超珍しく、ほとんどの獣医師は手術の経験がありませんし、見たとこもないでしょう。
そうすると、わかりませんが、鎖肛の手術と尿道の手術を両方を経験し、乗り越え、現在、元気で過ごしている猫は、すべての猫の中でこの猫さんくらいしかいないと感じています。
医療が功を奏し、その問題点を改善し、本来数ヶ月しか生きていけなかった猫が平均寿命は全うできそうになったことは素晴らしいことです。
尿と便は、出すことができないと生きていけませんので、その問題の両方を解決することができ、非常に幸運です。
生体の中では、さまざまなものが循環し、摂取と排泄が行われていますが、詰まったものを取り除く治療は、理屈は単純明快であることが多く、劇的な改善が認められることが多いです。
それから、詰まるとものすごい苦痛が生じることが多く緊急性がある場合が多いです。詰まってみて初めて、快便や快尿がいかに幸せなことかを実感できます。
と、その猫さんは理解できているかはわかりませんが、獣医師としては、よい仕事ができたと思います。
それから、この尿道の手術は、出血が多く、術後の狭窄や感染などの合併症が生じるとかなり厄介です。狭窄が数ヶ月して起きることもあり、尿がでないと緊急性があります。再手術のため、高度医療施設を受診している猫さんの話をときおり耳にします。
一般的な包皮を使わない手術より、包皮を使う方が断然よいです。坐骨との筋肉接合を切る必要がなく、尿道も中心をきれば、出血はあまりありませんし、とにかく、尿道が直接外部に露出しないのが、一番の利点です。
一回の手術で、その後なにも問題が生じず、尿がてているのは、ご家族からすると、当たり前かもしれませんが、それは非常に手術がうまくいっているということなのです。治って当たり前、治して当たり前なのです。
オス猫のこの尿道(会陰尿道ろう術)の手術も、ご相談ください。
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