2024/02/22
「食後」がいいかも
ふじみ野市の大井みどり動物病院です。
血液検査をする前には、原則、食事を抜くこと(絶食)が普通です。
にもかかわらず、「今日、血液検査だけど、うっかりして、ご飯食べてきちゃった」というご家族がよくおられます。私にも経験があります。
また、食欲が旺盛な場合、検査後すぐに食事を与えるためフードを病院に持参してくるご家族や、朝食を与えないとうるさくてどうしてもできないと訴えるかたもいて、なかなか絶食も大変です。
しかし、最近の犬の研究報告では、絶食は、健康な犬であれば、あまり必要ないようなのです。
食事を抜くのは面倒ですし、食事は楽しみの一つですから、絶食をしないことに越したことはありません。
絶食を行う理由は、一般的に、食後に影響をうけるにいくつか、上昇する可能性のある、血液検査項目があるからです。
その代表的なものに血糖値があります。血糖値は食後に上昇します。その報告では健康な場合は上昇しないと言えますが、人では上昇します。健康人では糖質1gあたり1mg/dL 上昇すると考えられています。
人と同様、犬猫では、糖尿病になる前段階で、食後のみに血糖値が上昇している場合があると考えられます。この状況を経て、慢性的に高血糖になり糖尿病になります。
健診によって糖尿病を早期発見するのであれば、むしろ、食後に血液検査をしたほうがよいのかもしれません。
糖尿病での血糖値の他、脂質代謝異常としての中性脂肪、腎不全での尿素やリン、などがそれに当てはまりそうでうす。具体的には、発病する前、クッシング症候群や甲状腺機能低下症では、食後に中性脂肪、慢性腎不全では、食後に尿素窒素の値が一時的に上昇している可能性が高いです。
健診として、病気を早期に発見するなら、食後の方が、むしろ望ましいかもしれません。逆に、食後に基準値を維持できているなら、健康的だと言えると考えます。
例外として、なにかしらの臓器不全があり、普段それらが低値であり、食後に基準値に補正される疾患、例えば、肝不全やアジソン病があるかもしれませんが、その可能性は低いにうえ、その状況下では様々な他の症状があるはずですから、そのようなケースは特にないと考えてよいと思います。
当院では、健診目的の血液検査では、絶食は指示しない方針に変更していきます。まもなくフィラリア検査(健康としての血液検査はオプション)の時期になりますが、来年からは、絶食していなくても血液検査は延期しません。今後もしかしたら、食後の検査を推奨するようになるかもしれません。
人では、絶食下では問題ないのに、食後に、血糖値や中性脂肪がスパイクしている可能性が意外とありますので、私は、むしろ絶食をしないほうがよいと考えます。
健診の目的は病気を早期に発見することです。病気を早期に発見するには、食後に血液検査をするのがよいと考えますが、その考えは今はまだまったく一般的ではありませんので、ご注意ください。
ようするに、食後の方が、異常を検出しやすいということです。
Yi KC, Heseltine JC, Jeffery ND, Cook AK, Nabity MB. Effect of withholding food versus feeding on creatinine, symmetric dimethylarginine, cholesterol, triglycerides, and other biochemical analytes in 100 healthy dogs. J Vet Intern Med. 2023 Mar;37(2):626-634. doi: 10.1111/jvim.16630. Epub 2023 Feb 14. PMID: 36786663; PMCID: PMC10061199.
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