2024/05/23
炭水化物インスリンモデル
ふじみ野市の大井みどり動物病院です。
「これしか食べていないのに、痩せないんです」
「では、もう少し食事の量やおやつを減らしましょう」
「でも、減らすとうるさくて」
というのは、診察室でよくある会話です。
現在の獣医学では、カロリー制限による減量が主流です。運動や散歩を増やすという指導をすることもあります。
でも、カロリー制限で、計算通り、減量できることはほとんどないのが現実です。たまにうまくいくかたもいますが、リバウンドすることも珍しくありません。
うまくいかないことは、カロリー制限するのがあまり良い方法ではないことを示唆しています。
例えば、10%カロリー制限したら、それなりに減量できるはずですが、体重は普遍なことがよくあります。
この理由を考えると、議論はありますが、炭水化物インスリンモデル(CIM)という考えで、一部説明ができます。
インスリンは肥満ホルモンなので、インスリンを分泌させない食事が減量に有効だという考えです。エネルギーとなる、糖質、タンパク質、脂質の中で、糖質がダントツでインスリンを分泌させますので、糖質を制限するのがCIMの本質です。
また、カロリー制限で、食べる量を少なくすると、体は省エネモードに入るため、エネルギーを使いにくくなります。省エネモードでは、ここぞと、インスリンは脂肪を貯める能力を発揮します。
つまり、炭水化物インスリンモデルだと、多く食べられ、満腹を得やすい可能性がります。その上、エネルギーを使いやすくなり、元気がでるかもしれません。
糖質の多いカロリー制限では、量が少なく、お腹が減り、体重を維持するには、ずっと、ひもじい思いをしなければならないでしょう。
犬猫は肉食動物です。犬猫の本来の食事には糖質はほとんど含まれていませんでした。
犬猫の減量がうまくいかないのは、ほとんどのペットフードに糖質が至適な量よりもかなり多く含まれていることが一因の可能性があります。
また、犬はインスリンを分泌する能力が、人よりも優れている可能性があります。なぜならば、犬にキシリトールを与えると、低血糖になるほど、インスリンが過剰に分泌する場合がありますし、犬は人よりも高血糖になることがかなり少ないと現場では感じているからです。さらに、膵臓内のベータ細胞(インスリンを作る細胞)数の割合が、犬は人よりも多いことがわかっています。
つまり、血糖値を下げるホルモンはインスリンしかありませんから、高血糖になったら、犬は速やかに十分な量のインスリンを分泌できるのだと予想しています。
犬のインスリン分泌能が、優れているのであれば、犬は太りやすいかもしれません。もし、そうなら、炭水化物インスリンモデルの考えを適応したダイエット法は犬には特に優れているかもしれません。
人でも、議論がある分野ですので、この考えが、犬や猫に当てはまるかはわかりませんが、人より肉食動物の犬の方により当てはまる理論の可能性はあります。
カロリーという考えはもう古いと思います。
何を食べるか、何を食べないかが、減量には非常に重要だと考えています。それは、健康にも同様です。
ドーナツのポン・デ・リング(糖質26グラム)1個と卵3つ(糖質1g)は同じカロリーですが、卵3つの方がボリューム感があり、腹持ちがよく、太りにくいのは体感でよくわかります。
たまに食べる、ポン・デ・リングは特に美味しいですが、毎日は飽きるでしょう、卵は普通に美味しですし、毎日食べれます。その理由は、ポン・デ・リングはヒトが本来食べてきたものではないからでしょう。
ちなみに、卵を1日3つ食べると、コレステロールがね、という考えも、もう古いです。
本来食べてきたものは、体に適応しているのでしょう。
Ludwig DS, Ebbeling CB. The Carbohydrate-Insulin Model of Obesity: Beyond "Calories In, Calories Out". JAMA Intern Med. 2018 Aug 1;178(8):1098-1103. doi: 10.1001/jamainternmed.2018.2933. PMID: 29971406; PMCID: PMC6082688.
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