ふじみ野市
大井みどり動物病院
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2024/06/30

タンパク質をたくさんとると攻撃性がますのか?

低タンパク食=高脂肪食
 
 
 

 

ふじみ野市の大井みどり動物病院です。
 
 
 
ネット情報で、犬において「動物性タンパク質は攻撃性が増す」という発言を見ました。
 


私は、肉を食べると凶暴になるのか?と私は感じ、その真意を調べてみました。

 


調べてみると、「食事中のタンパク質と、トリプトファンのレベルが、犬の攻撃性に関与している可能性がある」とは言えそうですが、どの研究も質としてはあまりよいとは言えません。

 


その根拠になっているであろう研究報告を見てみると、「恐怖からくる縄張り意識の強い犬」「犬の縄張り意識による攻撃性」の場合であり、限局された局面でのみで、普通の犬にはあまりあてはまるとはいえないかもしれません。「一般的な行動上の問題には有効ではありません」とあります。

 


また、研究では、食事中のNFEは同じなので「低タンパク食」は「高脂肪食」とイコールですから、脂質が増えたことで、攻撃性が低下したのかもしれません。

 


また、タンパク質に関して、「動物性」か「植物性」かの言及はないようですので、動物性タンパク質の方に、特別、攻撃性が増すなどの精神的変化があるようには考えられません。犬は肉食動物ですので、動物性タンパク質が適しています。

 


攻撃性については、他の研究方報告から、タンパク質の一種、グルテンを含む食事は、ある特定の疾患では、攻撃性が増す可能性があります。また、慢性炎症も、攻撃性を増す可能性があります。

 


犬猫はグルテンを異物と判断する可能性があります。異物反応は、慢性炎症を惹起する可能性があります。異物反応や慢性炎症は、攻撃的になるほか、心理的に悪影響を及ぼし、様々な疾患に関連しているでしょう。

 


何を食べるかは、精神や身体の調子と大きく関連していると思いますが、まだまだ、知見は少なく、わからないことだらけでしょう。

 


生理学的に考えれば、糖質過剰、脂質不足、タンパク質不足は精神に悪影響を及ぼすと考えています。議論がありますが、人ではケトン食(低糖質かつ高脂質)で、精神疾患が改善しています。

 


結局、私は「糖質が多く、脂質が少ない食事は、神経質になったり、攻撃的になる可能性がある」と考えています。

 


犬にとってグルテンを含まない脂身のある肉を与えることは身体や精神によい影響を与えるかもしれません。


 


参考文献

「食事中のタンパク質含有量を減らすことは、恐怖からくる縄張り意識の強い犬には有効かもしれませんが、一般的には行動上の問題には有効ではありません」
Dodman, N., Reisner, I., Shuster, L., Rand, W., Luescher, U., Robinson, I., & Houpt, K. (1996). Effect of dietary protein content on behavior in dogs.. Journal of the American Veterinary Medical Association, 208 3, 376-9 . https://doi.org/10.2460/javma.1996.208.03.376.

「低タンパク質食にトリプトファンを補給すると、縄張り意識の強い犬の攻撃性を軽減するのに役立つ可能性があります」
DeNapoli, J., Dodman, N., Shuster, L., Rand, W., & Gross, K. (2000). Effect of dietary protein content and tryptophan supplementation on dominance aggression, territorial aggression, and hyperactivity in dogs.. Journal of the American Veterinary Medical Association, 217 4, 504-8 . https://doi.org/10.2460/JAVMA.2000.217.504.

「低タンパク質食は、おそらくセロトニン代謝を通じて、犬の縄張り意識による攻撃性を軽減する可能性があります。」
Dodman, N., Reisner, I., Shuster, L., Rand, W., Leuscher, U., Robinson, I., & Houpt, K. (1994). The effect of dietary protein content on aggression and hyperactivity in dogs. Applied Animal Behaviour Science, 39, 185-186. https://doi.org/10.1016/0168-1591(94)90140-6.

「グルテンフリーの加水分解タンパク質食は、非セリアック性グルテン過敏症が疑われる犬の攻撃性と行動の変化を解消しました」
Suñol, A., Pérez-Accino, J., Kelley, M., Rossi, G., & Schmitz, S. (2020). Successful dietary treatment of aggression and behavioral changes in a dog. Journal of Veterinary Behavior-clinical Applications and Research, 37, 56-60. https://doi.org/10.1016/j.jveb.2020.04.009.

「炎症マーカーである C 反応性タンパク質 (CRP) とインターロイキン-6 (IL-6) のレベルの上昇は、飼い犬の攻撃的な行動と関連しています」
Re, S., Zanoletti, M., & Emanuele, E. (2007). Association of inflammatory markers elevation with aggressive behavior in domestic dogs. Journal of Ethology, 27, 31-33. https://doi.org/10.1007/s10164-007-0079-3.

「ケトン食は、治療が困難な精神疾患の患者にとって実行可能で忍容性の高い治療法であり、うつ病、精神病の症状、および代謝の健康に関する複数の指標の大幅な改善をもたらします」
Danan, A., Westman, E., Saslow, L., & Ede, G. (2022). The Ketogenic Diet for Refractory Mental Illness: A Retrospective Analysis of 31 Inpatients. Frontiers in Psychiatry, 13. https://doi.org/10.3389/fpsyt.2022.951376.

 


 


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