2024/07/13
二次がん 1
ふじみ野市の大井みどり動物病院です。
抗がん剤治療はいろいろな意味で難しい治療で、リスクのあるものだと考えています。
実は、抗がん剤の多くは、「発がん性」があります。抗がん剤投与により、他のがん(二次がん)になる可能性があるのです。
また、他の様々な神経疾患などを引き起こすリスクがあります。
ですから、抗がん剤治療をするかどうかはよく考える必要があります。
また、抗がん剤を投与すると、その患者の体液、尿、便から代謝物が排泄され、これにも発がん性が認められてます。このため、抗がん剤投与をしているご家族や同居の犬猫など、その周囲の生き物には、厳重な注意が必要です。
医療によって他の人間が、がんになることは絶対に避けなければいけないため、人では排泄物などの管理は厳重に行われています。抗がん剤を投与する医療者やその取扱いをするスタッフは厳格なルールのもと管理されています。
人では、投与中の患者は、トイレでは座って排泄し、使用後は便座を閉じて、流すよう指導されているようです。尿で汚れてしまったら、拭き取り、しっかり手を洗う必要があります。手袋を使用することも推奨されています。排泄物は二重のビニール袋にいれて廃棄します。
洗濯は、他の洗濯物と分けることがよいようです。使った食器も、洗剤で洗うよう指導され、徹底しています。
日本の犬猫でも抗がん剤治療中、排泄物や尿の取り扱いについては注意をうながしています。獣医療従事者も薬の扱いなど、気をつけていますが、人に比べると程遠いと思います。
犬猫は便器で用を足しません。家の中でペットシーツの上でしても、多少は飛び散っているでしょう。ご家族が手袋をして、注意して片付けても、やはり人間のようにはうまく対応できないため、暴露のリスクがあります。
外で尿をした場合、片付けるのは無理です。その尿を口にするほかの犬などがいる可能性があるので、非常に問題です。倫理的に考えれば、外出は禁止しなければなりませんが、難しいことが多いでしょう。
入院や通院中の動物病院で便尿をした場合、獣医スタッフがどんなに気をつけても、人のように完全に管理するのは到底不可能です。他の病気で入院や通院中の動物が影響をうけることはあってはなりません。
それから、犬はスキンシップのため、飼い主の顔などをペロペロしますが、これはダイレクトに暴露することになり、かなり危ないかもしれません。犬同士でスキンシップを取る場合も同様です。
結局、抗がん剤治療中の犬猫からの体液や排泄物からの暴露を防ぐのは無理であり、公衆衛生的に非常に問題があるという結論になります。
医療者が抗がん剤を扱う際、人では安全キャビネット内で、薬を扱いますが、動物病院ではほとんどの施設で装備されていません。専門施設でさえ、犬猫の糞尿は厳密に扱い処理することがかなり難しく、その暴露は軽視することができないかもしれません。
続く
参考文献
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「多くの抗がん剤は実験的検査で発がん性物質および遺伝毒性物質として認識されており、治療を受けた患者で二次がんが記録されています」
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「抗がん剤はおそらくほとんどが発がん性があり、アルキル化剤は二次がんの発生率が最も高くなります。」
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「小児がん患者の介護者は危険な薬物にさらされるリスクが高く、たとえ低用量であっても晩期障害や重篤な臓器毒性を引き起こす可能性があります」
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「外来化学療法を受けている患者の排泄物を介して、家庭環境の汚染と家族がシクロホスファミドに曝露していることが実証されました」
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「母親の職業上の抗癌剤への曝露は、1歳以上の子孫の急性リンパ性白血病の潜在的な危険因子となる可能性がある」
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「家族は癌患者の排泄物を介してシクロホスファミドや5-フルオロウラシルなどの抗腫瘍薬にさらされるリスクがあり、患者と医療従事者の両方が厳重な予防措置を講じる必要があることが浮き彫りになった」
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「化学療法を受けている患者は家庭内での汚染源となる可能性があり、子供や高齢者など感受性の高い家族に危険をもたらす可能性があります」
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「抗腫瘍薬への曝露は、自然流産、早産、不妊、胚異常、細胞核の損傷、看護師のさまざまな癌などの合併症を引き起こす可能性があります」
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「医療従事者は、遺伝毒性反応、催奇形性の結果、がんの増加など、抗腫瘍薬による有害な影響を受けるリスクがある可能性があります」
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