2024/08/10
「1+1=2でない」
ふじみ野市の大井みどり動物病院です。
伝統的な数学では、「1 + 1 = 2」は基本的な真理ですが、最新の数学では、この等式が成り立たない場合があります。2以外になったり、ゼロになる場合があるのです。(モジュロ算術、非標準解析)
医療は科学ですから、「1 + 1 = 2」となる、つまり、ああすればこうなる、と考えがちですが、数学と同じように2にならないことがよくあります。
例えば、同じ薬を処方しても、ある患者には劇的な効果をもたらし、別の患者には全く効果がない、あるいは副作用を引き起こすことがあります。
その理由は、犬猫の生体が、複雑なシステムで絡み合っていて、抽象的には同じであるが、具体的には相違があるからです。
犬や猫としての大きなカテゴリーでは同じですが、遺伝子も違うし、食べ物も違うし、環境も違うし、種も違う、体質の違いもあり、同じであるようでも、変数が極めて多いのです。数学比べ、この多様性は比べ物にならないでしょう。
以前、NHKスペシャルで、長年未解決だったある数学問題を日本人が解決した快挙を放送していました。彼はりんご一個一個に多様性があるように、数字にも、例えば1にも多様性がある、という概念を使用し、証明したが、そこには議論がある、のような内容を思い出しました。
1という数字でさえ多様性があるので、自然が作り出したものでは、それと比べ物にならないくらい多様でしょう。同じ人間は存在しないし、同じ犬猫も存在しません。
「『世界で一つだけの花』という歌がありますが、同じ花があるわけがないから、それは当たり前だ。まったく同じ花があれば、俺のところにもってこい」と、養老孟司先生が、発言していましたが、まさにこのことです。
世の中に同じものは存在しないのです。
つまり、生物はすべて違うのです。それゆえ、医学は、予測が難しく、絶対的法則を見つけることが非常に困難な分野なのでしょう。
でも、言葉を定義したり、学問を体系化するには、同じであることを便宜上認める必要があります。
実際はすべての患者は違うにもかかわらず、同じとして考えるので、医学には必ず例外や矛盾ができてしまいます。あるいは、医学は少数派は蔑ろにし、多数派を優先しているともいえます。
したがって、その個体に合わせた、医療が必要になります。つまり、オーダーメイドな医療が重要になります。
また、ペットのご家族にも多様性があり、変数がたくさんあります。つまり、ご家族にもオーダーメイドな対応が必要になるのです。
我々動物病院の獣医師もそれらの多様性の中で仕事をしています。オーダーメイドな医療のコツをを一言でいうなら、「臨機応変」さでしょう。毎日、臨機に応変しています。仕事の熟練とはその能力が増すことだと言えます。
また、多様性を考えると、教科書の通りのことが正しいと安易に鵜呑みにせず、常識を常に疑うこも必要でしょう。
今後、動物の医療も多様性を尊重するようになり、細分化されていくでしょう。多様性を尊重する医療がよりよい治療結果につながります。
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