2024/08/24
熱中症と「運動」「風」「電話」
ふじみ野市の大井みどり動物病院です。
熱中症のなる要因として、あまり知られてないと感じるのが、「運動」です。
実は、「暑い車内に置いてきぼり」にすることより、「運動」の方がリスクが高い可能性があります。
激しい運動中に、具合が悪くなったら、熱中症かもしれません。
運動中、息が早くなることは普通ですが、ぐったりしたり、ふらふらしたり、意識がもうろうになったり、呼びかけに反応が弱い、などの場合は熱中症かもしれません。
大型犬や鼻の短いワンコは熱を溜め込みやすいので、特に気をつける必要があります。また、活発な若いワンコやオスの場合はさらにリスクがあがります。
それから、熱中症のとき、体温を下げるために、水をかけることはよく知られていますが、実は「風」をあてることも大事です。これも、あまり知られていなように思います。
つまり、「水と風」の組み合わせにより、効率的に冷やすことができます。
熱中症になった場合は、水道水で体をぬらし、扇風機などで風をあてるのがよいです。来院中の車内では、エアコンの風を当てたり、うちわで扇いで、風をあてるよう努めましょう。冷やしながら、来院してください。
特に、ドッグランで激しく遊ぶ、活発な若い大型犬は、意外と涼しい夏の日でも、熱中症には特に注意が必要です。
活発に遊んでいる間は、こまめに水を与えたり、こまめに水をかけることが、熱中症予防になります。
熱中症になると万が一の可能性が50%かもしれませんが、適切な応急処置により救命率が上がります。
熱中症が疑われたら、まず、水をかけ、風をあてましょう。そして、動物病院に連絡し、受け入れの是非を確認し、水と風で冷やしながら、来院してください。
この「電話」も大切です。受け入れらない場合や休診の場合もあります。その場合、かなりのタイムロスが生じ、治療結果に影響を及ぼしてしまいます。
来院前の「電話」も、意外と知られていないように思います。
ようするに、熱中症では、「運動」「風」「電話」が盲点になりやすいのです。
それから、少し涼しくなると、油断しがちです。湿度が高い中、激しい運動をしているときは注意が必要です。
そうは申しましたが、猛暑にもかかわらず、今年は緊急を要する熱中症はありません。ふじみ野市周辺のご家族は優秀な方が多いからでしょう。
参考文献
「英国の犬では、運動が熱中症の最も一般的な誘因であり、運動による熱中症は暑い車内に閉じ込められることよりも危険で致命的です」
Hall, E., Carter, A., & O'Neill, D. (2020). Dogs Don’t Die Just in Hot Cars—Exertional Heat-Related Illness (Heatstroke) Is a Greater Threat to UK Dogs. Animals : an Open Access Journal from MDPI, 10. https://doi.org/10.3390/ani10081324.
「熱中症(または熱射病)は、暑い環境や身体活動によって引き起こされる可能性のある、犬の致命的な症状です。飼い主や獣医が熱中症の主な危険因子と誘因を認識することで、症状の発症率と重症度を軽減する緩和戦略を促進できます。飼い主は、犬が熱中症になった場合、獣医の治療を受ける必要がありますが、動物病院に行く前に必ず『まず冷やしてから運ぶ』必要があります。推奨される積極的な冷却方法には、動物を水に浸すか、動物に水をかけること、扇風機やエアコンを使用して空気の流れを確保することなどがあります」
Bradbury, J., Hall, E., Carter, A., & O'Neill, D. (2023). Canine heat-related illness – new perspectives from recent research. Companion Animal. https://doi.org/10.12968/coan.2023.0015.
「犬の熱中症を防ぐために、飼い主は犬を水に浸したり扇風機を使ったりして空気の流れを確保し、『まず冷やしてから運ぶ』必要があります」
Bradbury, J., Hall, E., Carter, A., & O'Neill, D. (2023). Canine heat-related illness – new perspectives from recent research. Companion Animal. https://doi.org/10.12968/coan.2023.0015.
「犬の熱中症の最も一般的な臨床症状は、多呼吸、頻脈、高体温、衰弱から衰弱、胃腸および神経の症状です」
Teichmann, S., Turković, V., & Dörfelt, R. (2014). [Heatstroke in dogs in southern Germany. A retrospective study over a 5.5-year period].. Tierarztliche Praxis. Ausgabe K, Kleintiere/Heimtiere, 42 4, 213-22 .
「犬の熱中症の初期症状には、高体温、過呼吸、頻脈、うつ状態、嘔吐、下痢、脱水症状などがあります」
Krum, S., & Osborne, C. (1977). Heatstroke in the dog: a polysystemic disorder.. Journal of the American Veterinary Medical Association, 170 5, 531-5 .
「犬の熱中症の最も一般的な臨床症状には、急性虚脱、頻呼吸、自然出血、ショック症状、およびうつ状態、見当識障害、発作、昏迷、昏睡などの精神異常が含まれます」
Bruchim, Y., Horowitz, M., & Aroch, I. (2017). Pathophysiology of heatstroke in dogs – revisited. Temperature, 4, 356 - 370. https://doi.org/10.1080/23328940.2017.1367457.
「犬の熱中症は生命を脅かす病気であり、良い結果を得るには早期発見と適切な治療が不可欠です」
Teichmann, S., Turković, V., & Dörfelt, R. (2014). [Heatstroke in dogs in southern Germany. A retrospective study over a 5.5-year period].. Tierarztliche Praxis. Ausgabe K, Kleintiere/Heimtiere, 42 4, 213-22 .
危険因子には、高温、特に湿度の高い環境、過度の身体活動、肥満、大きい (15 kg 超) 体重、特定の犬種 (ラブラドール レトリバーや短頭種など)、上気道閉塞、長時間の発作などがあります。
犬の熱中症は、暑い環境にさらされたり、激しい運動をしたりすることで熱が蓄積されることで起こり、死亡率は人間の熱中症患者と同程度、約 50% です。
Bruchim, Y., Horowitz, M., & Aroch, I. (2017). Pathophysiology of heatstroke in dogs – revisited. Temperature, 4, 356 - 370. https://doi.org/10.1080/23328940.2017.1367457.
危険因子には、高温、特に湿度の高い環境、過度の身体活動、肥満、大きい (15 kg 超) 体重、特定の犬種 (ラブラドール レトリバーや短頭種など)、上気道閉塞、長時間の発作などがあります。
犬の熱中症は、暑い環境にさらされたり、激しい運動をしたりすることで熱が蓄積されることで起こり、死亡率は人間の熱中症患者と同程度、約 50% です。
Hall, E., Carter, A., & O'Neill, D. (2020). Dogs Don’t Die Just in Hot Cars—Exertional Heat-Related Illness (Heatstroke) Is a Greater Threat to UK Dogs. Animals : an Open Access Journal from MDPI, 10. https://doi.org/10.3390/ani10081324.
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