2024/10/08
うちの犬の心拍数は50回
ふじみ野市の大井みどり動物病院です。
拡張型心筋症という心臓の壁の筋肉が薄くなり、心不全になる病気があります。
この拡張型心筋症は食事との関連性が報告されています。
グレインフリー(穀物不使用)
豆類が多い
タウリンが少ない
カルニチンが少ない
上記のような食事は拡張型心筋症になりやすい可能性があります。
「グレインフリー」とは、ペットフードや人間の食事において「穀物を含まない」という意味です。具体的には、小麦、トウモロコシ、米、大麦などの穀物を使用せず、代わりに豆類や芋類、肉などの原材料を使って栄養を補います。
したがって、豆類や芋類、肉の多い食事が拡張型心筋症を起こしやすい可能性が考えられます。
犬は豆類や芋類は、食べてこなかったでしょう。カルニチンやタウリンは肉や魚に豊富に含まれます。昔の犬は肉の他、魚も食べてきたの、カルニチンやタウリンは不足することはあまりなかったでしょう。
豆や芋類は農業が発達する前の自然界にはあまり存在していなかったでしょうし、火を通さないと消化しにくいでしょう。小麦やトウモロコシも食べてこなったので同様です。
穀物で拡張型心筋症が起きるという報告はありませんが、多分穀物も健康に何かしらの悪影響を及ぼしている可能性があるのではないかと想像します。
すごく省略し簡単にいえば、肉食動物に、植物性の食事を与えるから、拡張型心筋症が生じる一要因になるのだと考えています。
拡張型心筋症だけでなく、さまざまな疾患と植物性の食事は関連しているかもしれません。心臓に悪い食事は他の臓器にも良くないでしょうし、心臓によい食事は、他の臓器の良いと考えます。
犬猫の栄養学は犬猫は肉食動物であるという大原則から始めると、さまざまな疾患が予防できると考えています。
そもそも、犬には炭水化物は必要ないということが名言されています。炭水化物主体の、豆類、穀物、とうもろこし、芋類は、別に食べなくとも生きて生きていけるのです。神はそのように犬を設計しました。肉には炭水化物はほとんど含まれていません。
神の設計図にない多量な炭水化物をとれば、病気になりやすくなることは、基礎的な学問、例えば、消化生理学や生化学などで、その機序が紐解かれます。
うちの犬は完全肉食です。いまのところ、拡張型心筋症起こっていません。獣医師からみて、健康状態は良好であり、体型は素晴らしく均整がとれています。
日本で、肉食で犬を子犬から育てている獣医師は、多分私くらいと思いますので、貴重な犬でしょう。
うちの犬の安静時の心拍数は1分あたり50回くらいで、同じような大きさの犬に比べると、やや遅いでしょう。実は犬の正常な心拍数がいくつかは、よくわかっていませんが、50回は少ないと考えます。
一般的には、心臓の働きが低下すると、心拍数が上昇します、50回は、心臓の機能がしっかりしている証拠でしょう。
もしかしたら、肉食ダイエットの犬の心拍数は、一般的なペットフードを食べている犬に比べると、低いのかもしれません。もちろん、肉食の犬の心拍数は調べてもありません。
それから、うちの犬は、心臓肉を定期的に食べています。例えば、心臓の調子が悪い時に、心臓を食べれば良いという、「臓器療法」がありますが、それは、否定されてきます。でも、一般的に内臓肉は栄養豊富で、タウリンが豊富に含まれますので、心臓によいでしょう。
最後に、特に、コッカースパニエルやゴールデンレトリバーはタウリンやカルニチン不足なりやすいので、注意が必要です。ドライフード主体なら、おやつとして、内臓肉を与えるとよいかもしれません。
なぜなら、タウリン欠乏症やカルニチン欠乏症は、動物病院では、まず、考慮すらされないからです。
参考文献
「一見健康な犬の場合、心拍数と体重の間に相関関係はありません」
Lamb, A., Meurs, K., & Hamlin, R. (2010). Correlation of heart rate to body weight in apparently normal dogs.. Journal of veterinary cardiology : the official journal of the European Society of Veterinary Cardiology, 12 2, 107-10 . https://doi.org/10.1016/j.jvc.2010.04.001.
「犬の正常な心拍数に関する情報はほとんどありません」「平均心拍数の中央値は 73 bpm」
Lamb, A., Meurs, K., & Hamlin, R. (2010). Correlation of heart rate to body weight in apparently normal dogs.. Journal of veterinary cardiology : the official journal of the European Society of Veterinary Cardiology, 12 2, 107-10 . https://doi.org/10.1016/j.jvc.2010.04.001.
「コッカースパニエルやゴールデンレトリバーなど、高濃度のタウリンまたはl-カルニチンを必要とする可能性のある品種では、栄養欠乏症を避けることが不可欠です( Kittleson et al., 1997 ; Kaplan et al., 2018)」
「最近、犬の栄養に関する議論が高まっているトピックは、ドッグフードに含まれる炭水化物の割合です。国際研究会議は、犬の食事に炭水化物はまったく必要ない(トウモロコシ、米、ジャガイモ、大麦など)という結論を出しました。しかし、ほとんどのドライフードでは炭水化物が主成分であり、豊富に含まれています。」「多くの種類のドライフードに炭水化物大量に含まれていることが問題です」「ペットフード製造業者は、炭水化物を記載する必要はありません」「食事中の炭水化物は犬の健康に悪影響を及ぼす可能性があります」(Daina & Macri, 2023)
穀物不使用や豆類を多く含む食事は、DCMの発症と関連があることが複数の研究で示されています。特に、これらの食事を摂取していた犬が、食事の変更により心機能が改善する例が報告されています(Walker et al., 2021)、(Pace, 2021)。
豆類を多く含む食事がタウリン欠乏症を引き起こし、それがDCMの発症に関与している可能性があります。特に、ゴールデン・レトリーバーなどの特定の犬種では、食事変更やタウリン補充によって心機能が大幅に改善されるケースがあります(Kaplan et al., 2018)。
DCMの発症には、遺伝的要因、栄養欠乏(特にタウリンやカルニチン)、そして豆類や新奇タンパク質が豊富な食事が関連していると考えられていますが、具体的なメカニズムはまだ解明されていません。食事に含まれる成分の消化性や栄養素の利用可能性に関する理解が不足しており、さらなる研究が必要です(Smith et al., 2021)。
一部の研究では、グレインフリー食が必ずしもDCMのリスクを高めるとは限らないという結果もあります。米国でのDCMの発症率とグレインフリー食の売上との間に有意な関連は見られなかったという報告もあります(Quest et al., 2020)。
健康な⽝の⾷事における炭⽔化物の量はゼロであるべきです(Cowell,2008)
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