2025/02/15
「ワールブルグ理論」

ふじみ野市の大井みどり動物病院です。
「ワールブルグ理論」は、がん細胞のエネルギー代謝に関する重要な考え方です。がん細胞は通常の細胞とは異なり、酸素を使わずに解糖系を優先することでエネルギーを得ています。
オットー・ワールブルグ(Otto Warburg, 1883-1970)は、ドイツの生理学者・医師で、がん研究の先駆者でした。彼の「ワールブルグ効果」、つまり、がん細胞が主に解糖系(嫌気的代謝)でエネルギーを得る事実を発見し、1931年にノーベル生理学・医学賞を受賞しました。
この理論に基づけば、がん細胞の成長を抑制するためには、糖の摂取を制限し、酸素供給を増やすことが有効と考えられています。糖質の過剰摂取は、インスリン分泌の増加やミトコンドリアへの過負荷を引き起こし、結果として活性酸素種(ROS)の増加や酸化ストレスの促進につながります。そのため、人においては以下のような対策が推奨されます。
1. 低糖質の食事
- がん細胞の主要なエネルギー源であるグルコースの供給を減少させ、増殖を抑制する効果が期待されます。また、糖質の過剰摂取は酸化ストレスを増加させるため、適量の摂取が重要です。
2. 抗酸化物質の摂取
- 活性酸素(ROS)はがん細胞の異常代謝を促進するため、ビタミンCやE、ポリフェノールなどの抗酸化物質を摂取し、酸化ストレスを軽減することが有効です。
3. 運動
- 運動はインスリン感受性を向上させ、糖代謝を正常化します。また、酸素供給の増加、体脂肪の減少、ホルモンバランスの改善により、がんリスクを低減します。
4. ストレス管理と十分な睡眠
- ホルモンバランスを整え、免疫機能を強化し、正常な細胞の代謝維持に寄与します。
5. 禁煙とアルコール制限
- タバコやアルコールは酸化ストレスを増加させ、正常な代謝を阻害するため、制限が推奨されます。
6. 肥満の防止
- 肥満はインスリン抵抗性を引き起こし、高血糖状態ががん細胞の解糖系を活発化させる要因となるため、体重管理が重要です。
つまり、人においては、糖分を控え、運動をし、肥満にならないように努め、嗜好品を避け、十分な休息をとり、規則正しい生活を送ることが、がん予防に寄与すると導かれます。
しかし、犬や猫においては状況が異なります。犬や猫はビタミンCを体内で合成できるため、人と異なり野菜由来の抗酸化物質の摂取は必須ではありません。代わりに、ビタミンAやD、オメガ3脂肪酸などの抗炎症作用を持つ成分が重要と考えられます。これらの栄養素は動物性食品に多く含まれ、摂取しやすい特徴があります。この点は、犬猫が肉食動物である一つの根拠となります。
また、運動や肥満防止は犬猫の健康維持に不可欠ですが、ストレス管理や睡眠の影響は人ほど重要視されていません。さらに、犬猫は喫煙やアルコール摂取のリスクを持たないため、これらの要因は考慮不要でしょう。(猫においてご家族が喫煙者だとあるがんが増えることは示唆されています)
結論として、ワールブルグ理論を犬猫のがん予防に応用する場合、低糖質の食事、適度な運動、肥満防止が特に重要となります。すなわち、適量の肉食ダイエットと適度な運動が、がん予防の鍵となる可能性が高いと考えられます。
さらに、これらの食事と運動習慣は、がん予防のみならず、さまざまな疾患の予防や治療にも貢献する可能性があります。しかし、これらの仮説を証明するための長期的な介入研究はまだ不足しており、今後のエビデンスの蓄積が求められます。
犬猫は本来、狩猟を行い獲物の肉を食べる肉食動物であり、運動と肉食中心の食事が健康維持に不可欠であることは、理論的にも直感的にも明白です。
肉食ダイエットと運動が犬猫の健康に寄与するという仮説は、がんの『ワールブルグ理論』を用いることで、部分的ではあるが論理的に証明できる可能性があります。
ちなみに、肉の中の糖質量は極めて少なく、鶏のもも肉100グラムには約0.1〜0.5グラム程度しか含まれません。一方、これに比較して現代のペットフードには多くの糖質が含まれており、この事実はワールブルグ理論に基づけば、がんの発生と因果関係がある可能性があります。
また、ビタミンCは植物性の食品に多く含まれていて、動物性食品にはほとんど含んでおらず、犬猫にとって毒性のある植物は多くあることからも、犬猫に野菜などの植物性の食事は必ずしも必要ないのかもしれません。
その真意はわかりませんが、重要なのは、甘いものを控え、運動環境を整え、肥満を防ぐことが、がん予防の基本となるでしょう。これは、人間においても犬猫においても共通する原則でしょう。
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