ふじみ野市
大井みどり動物病院
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夏季休業なし
10時〜

2025/05/24

過去問勉強法

学びとは
 
 
 
 

 

 

ふじみ野市の大井みどり動物病院です。

 
 
 
獣医師国家試験が今年も実施されましたが、教科書だけを頼りに合格するのは難しい試験です。
 
資格試験では、過去問の分析と出題傾向の把握が極めて重要です。過去問を解きながら、理解が不十分な部分は解説で補い、必要に応じて教科書で該当箇所を確認する。この方法が最も効率的な学習法です。
 
講義を最前列で真面目に受けるタイプの学生ほど、教科書を最初から通読する傾向がありますが、この方法では合格率が伸びにくい傾向にあります。
 
試験の目的は、基準点を取ることです。そのためには、過去に出題された問題を解くことで、傾向と対策を掴むのが近道です。
 
過去問中心の学習法は、必ずしも深い学問的理解を保証するものではありませんが、「合格」という目標を達成するうえでは非常に有効です。そもそも多くの職業においても、実務を通じて課題を解決しながら学びを深める姿勢が重要であり、それを補完する知識の蓄積も効果的です。
 
動物病院で働く獣医師も、日々「問題解決」を繰り返しています。教科書を最初から順に学ぶような勉強スタイルの獣医師はほとんどおらず、現場で遭遇する課題に対して柔軟に対応しながら実力を養っています。
 
新卒獣医師は、卒業時点では即戦力とは言い難いですが、実際の診療現場で病気という課題に向き合いながら、次第にスキルを身につけていきます。
 
動物病院では、比較的よく遭遇する病気があります。下痢、嘔吐、咳、異物誤飲といった典型的な症例はパターン化されており、経験を積むことで自然と診療技術も向上していきます。治療を通じて、その背景にあるメカニズムや関連知識を教科書や文献で学ぶことで、応用力も養われます。
 
パレートの法則(パレートの法則とは、「全体の80%の結果は、20%の要因から生じる」という経験則です)になぞらえるなら、よくある病気(全体の2割)が診療全体の8割を占めているともいえます。新卒獣医師は、まずこの2割に集中して学ぶことで、効率よく臨床力を高めることができます。3年ほど経験を積めば、こうした一般的な疾患には十分対応できるようになり、自信もついてきます。
 
一方で、残りの2割には、稀で診断が難しく、教科書にも載っていないような病気が含まれます。これらは、国家試験でいえば正答率の低い設問やマニアックな知識を問う問題に近く、試験対策としては捨てるという戦略も成立しますが、臨床現場ではそうはいきません。ごく稀にしか遭遇しない症例にも、診断・対応が求められます。
 
経験を積むと、受付での飼い主の話や動物のプロフィール、過去のカルテ情報などから、診察前にある程度病気の見当をつけられるようになります。また、「何かおかしい」と感じる直感や、言語化しにくい違和感を察知する能力も育っていきます。
 
稀な病気については、日常診療では触れる機会が少ないため、教科書、セミナー、学会などを通じて知識を蓄えることが不可欠です。これにより、いざという時にも対応できる準備が整います。
 
パレートの法則で言えば、よくある8割の疾患に確実に対応しつつ、残りの2割に備える、こうした姿勢で日々の診療に臨む動物病院は、質の高い医療を提供できる「上位2割」の病院といえるでしょう。
 
そしてやはり大切なのは、獣医学だけにとどまらず、他分野の学問にも目を向けることです。医学や生物学、化学に加え、心理学、社会学、経済学、コミュニケーション論など、多様な分野の知見は、視野を広げ、思考に深みをもたらします。
 
こうした学びは、過去問を中心とした効率的な学習とは対照的に、一見すると非効率で回り道に思えるかもしれません。しかし、異なる分野の知識が意外な形でつながり、ひらめきや新たな発想が生まれることもあります。
 
また、それぞれの獣医師に個性や多様性をもたらす土台ともなり得るでしょう。これこそが、本当の意味での「学び」と呼べるものかもしれません。
 
つまり、それは、効率的学習という「型」から出発し、他分野の知を取り入れて、各人がそれぞれ広い視野と深みを得ていくという成熟過程のことであり、「守破離」の考え方と一致します。守破離は学びや成長の本質と言えるでしょう。


 


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