ふじみ野市
大井みどり動物病院
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2025/06/29

タンパク質摂取と血液検査

上昇したら至適かも
 
 
 
 

 

 
 
埼玉県ふじみ野市の大井みどり動物病院です。
 
 
 
タンパク質の多い食事をしている犬の血液検査では、いくつかの項目が基準値を超えて上昇することがあります。具体的には、尿素窒素、赤血球の値、アルブミンの値が上昇する傾向が見られます。これらは一般的にタンパク質を多く含む食事によって引き起こされる変化として認識されています。
 
 
 
獣医師の間でよく知られているのは、尿素窒素が高い場合に高タンパク質食の影響を一考することです。尿素窒素はタンパク質の代謝物です。
 
 
 
普通の獣医師はこれらの上昇を正常ではないと捉えますが、実は正常であり、むしろ栄養状態が改善された結果、至適な値に近づいている可能性があります。
 
 
 
例えば、人間がレバーを食べて貧血が改善したり、基準値範囲内で増加した場合、それは栄養が充足されたと考えることができます。これは、適切な食事によって健康的な状態に近づいていると理解できます。
 
 
 
また、血液検査の基準値が一般的なペットフードを食べている犬を基にして作られているため、その値が必ずしも犬の至適な値を反映しているとは限りません。ペットフードに含まれる栄養素が至適量より不足している場合、犬の血液検査の基準値が低く設定されている可能性があります。
 
 
 
実際、一般的には推奨されない肉食ダイエットで育てているうちの犬では、尿素窒素は基準値の真ん中、アルブミンは基準値より高く、赤血球の値は基準値の上限でした。もしかしたら、この結果は犬本来の値かもしれません。
 
 
 
肉中心の食事によりアミノ酸が豊富に供給されると、肝臓がアルブミン合成を適切に調整し、アルブミン値が最適な範囲に補正されることがあります。市販のペットフードは基準を満たしているものの、至適量よりはタンパク質量が控えめで、これがアルブミン値を低くするかもしれません。したがって、肉食によるアルブミンの上昇は「過剰な促進」ではなく、「生理的至適化」として捉えることができ、このような変化は病的ではなく、代謝の改善と解釈できます。
 
 
 
したがって、高タンパクな肉食ダイエットで、それら3つの項目が基準値から外れ高くとも、それは異常ではなく、むしろ良い状態であると言え、逆に、多くの一般的な食事の犬はタンパク質不足などの栄養不足の可能性があります。
 
 
 
そのため、高タンパク食でそれらの値が上昇していることはむしろ正常で良いことであると捉える方が良いかもしれません。むしろ、至適な値であり、基準値に検討が必要なのかもしれません。そして、多くの犬のタンパク質摂取量は至適ではなく、不足している可能性を考慮する必要があるでしょう。
 
 
 
AAFCOの栄養基準では、タンパク質の上限は設けられていません。設けられているのは下限です。下限は至適ではありません。この根拠らしき論文もあまり良いものではないようです。
 
 
 
原則的に肉食性が非常に高い犬猫がタンパク食で健康を害することはないでしょう。もし健康な犬が高タンパク食で健康を害する場合は、相対的に脂質が減少するので、脂質を減らし過ぎることが大きな原因になると考えています。おそらく、脂身のないささみだけ食べていたら、脂肪飢餓などの栄養失調になるでしょう。
 
 
 
あるいは、プロテインのような精製されたタンパク質の多量摂取は吸収が早すぎ、正常な代謝ができなくなり、不都合がおきる可能性はあります。
 
 
 
それから、うちの犬は完全に肉食ですが、かなりズッシリ重く感じます。毎日犬に触れている私がそう感じるので間違いないないと思いますが、これは至適なタンパク質などの栄養素が十分とれていることで、筋肉量や骨密度が十分な上、各臓器の重量が十分で、至適な状態になっているのだと想像しています。
 
 
 
おそらく、うちの犬のずっしり感、体の重量密度(body density)は他の多くの犬に比べると高いでしょう。これも、同様に至適だと捉えています。
 
 
 
相反する考えもありますが、子犬時から3年以上完全な肉食ダイエットで育てている犬の研究報告はありませんし、獣医師の管理している完全な肉食犬は日本ではおそらく私の犬だけでしょう。おそらく、そのような犬の血液検査データを持っている人は日本ではほとんどいないのではないでしょうか。
 
 
 
違った意見や考えもありますが、これらの見解は一説としては考えることができると思います。
 
 
 


 


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