ふじみ野市
大井みどり動物病院
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2025/07/05

豚の耳とジョイントマット

似ています
 
 
 
 

 

 
 
埼玉県ふじみ野市の大井みどり動物病院です。
 
 
うちの犬には、日常的に「豚の耳を丸ごと」与えます。とても好物のようで、喜んで食べます。
 
 
 
豚の耳は約20センチほどの大きさで、噛み応えがあり、適度に柔らかく、結合組織が豊富でゴムのような食感があります。うちの犬はこれを奥歯で4分割ほどに噛み分けて飲み込みます。握り拳ほどの肉の塊なら簡単に飲み込むため、丸ごとの豚の耳を1分ほどで完食します。
 
 
 
一般的に、食材としての豚の耳はあまり馴染みがありませんが、その質感は「ジョイントマット」に似ています。特に、湿ったジョイントマットに近い感触です。私は実際にジョイントマットを噛んだことはありませんし、豚も耳をまるごと食べたことがありませんが、共に食感は似ているのではないかと思います。
 
 
 
獣医師が一般的に知っているのは、犬や猫がジョイントマットを誤飲し、手術で取り出すケースが少なくないことです。最近では、同じ猫が2カ月間で2回も腸切開手術を受け、共にジョイントマットを取り出しました。犬よりも猫の方がジョイントマットを好む傾向があるのかもしれません。
 
 
 
なぜジョイントマットを好むのか考えたところ、豚の耳に似た質感が肉食動物の本能を刺激しているからではないでしょうか。本来、犬や猫は、噛み応えのあるものを好みます。獲物には骨や軟骨、結合組織、動物繊維が多く、ペットフードのように簡単に食べられません。野生では、時間をかけて噛み砕き、分割して食べる本能があり、噛み応えのあるものを求める欲求を本来有してるのでしょう。
 
 
 
ジョイントマットは、こうした本能を満たす獲物の質感に似ているため、好まれるのだと思います。うちの犬が豚の耳を喜んで食べるのも、同じ本能によるものでしょう。
 
 
 
一方、うちの犬はジョイントマットに興味を示しませんし、人工物を口に入れても飲み込むことはありません。これは、生まれ持つ素質のほか、噛む欲求が豚の耳などで満たされていることや、加工しない自然な食材を日常的に食べているので、人工物の区別ができているからだと考えています。
 
 
 
犬や猫の誤飲の原因の一つは、普段から噛み応えのあるものを食べていないことや、肉や骨を摂取していないことにあると思います。豚の耳を与えることで満足する可能性はありますが、ペットフードに慣れている犬や猫は未知の食材を拒否することがあります。また、食べ方を知らずに丸呑みして食道に詰まらせたり、消化に慣れていないために下痢をしたりするリスクもあります。
 
 
 
ですから、原則的には、豚の耳は犬にとって優れた食材ですが、一般には推奨されません。
 
 
 
豚の耳や肉を与えて下痢などの体調不良が起きる可能性が割とあると思いますが、以前ブログに書きましたが、食材に原因があるわけでなく、食べる側の要因が大きいと考えられます。
 
 
 
まあ、消化しにくそうなあのゴムのような握り拳くらいの塊を丸飲みして、犬は消化できるんだなと、感心します。肉の塊を胃酸によりドロドロできる能力が本来備わっているのです。考えてみれば、私たちの概念がズレているだけで、肉食動物ですから当たり前です。犬の胃は骨さえ溶解します。
 
 
 
うれしそうに得意げに、四口で豚の耳を食べる愛犬を横目で見ながらこのようなことを考えました。
 
 
 
そうは言っても、一般的なご家庭の犬猫には、豚の耳は与えないでください。おそらく消化機能が落ちているので、消化に負担がかかります。
 
 
 
それから、くれぐれも、ジョイントマットは腸閉塞などのリスクがあるため、犬猫が誤飲しないよう、ご自宅には置かないでください。
 
 
 
特に、画像の台形の部分をよく誤飲します。
 
 


 


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