2025/09/07
三種の神器

埼玉県ふじみ野市の大井みどり動物病院です。
昔、どんな病気でもビクシリン(バイトリルだったかもしれません)という抗生剤と、プレドニゾロンというステロイドで治療する獣医師がいると聞いたことがあります。
診断をしっかり行わず、なんでもこの二種類の薬で治療してしまうため、他の獣医師から揶揄されていたという話を聞いたことがあります。
実際、この二つの薬はどちらもよく効きます。内科治療において、大きな効果が見られる場合は、この二つの薬の作用によることが多いです。
多くの病気は炎症反応ともいえ、ステロイドで炎症を抑えることは理にかなっていますし、抗生剤の発見は医療の歴史の中で最大の功績のひとつであることは言うまでもありません。
事実、動物病院の現場でも、内科治療が奏功して劇的に改善した場合は、この二つの薬の効果によることが多いです。また、診断をしっかり行ったとしても、最終的にこの二種類で治療することになる場合も少なくありません。
ですから、多くの病気は抗生剤とステロイドを使用すると改善が期待できる可能性が高いです。確率論でいえば、ステロイドと抗生剤を用いると改善する可能性はかなりあるのです。
この意味では、ビクシリンとプレドニゾロンの注射を多用する先生の治療方針は、意外と理にかなっています。現場主義的な考え方であり、極めて臨床的だと言えるでしょう。動物医療では診断が難しい場合も多く、何もしないよりは、推奨されるものではありませんが、これらの薬にチャレンジすることも選択肢のひとつとなります。
抗生剤とステロイドは内科医療を発展させてきました。薬は数多くありますが、これに勝る治療薬はあまりないでしょう。ただし、効果がある分、副作用には注意が必要です。
ちなみに、これにもう一つ加えるとすれば、輸液(点滴治療)だと私は考えます。
さまざまな薬がありますが、内科治療で言えば、三種の神器は抗生剤、ステロイド、そして輸液です。
この三つがあれば、多くの内科的疾患に対応できるでしょう。その証拠に、これら三種類の薬を扱わない日はほとんどありません。また、高価ではなく、多くの獣医師が豊富な使用経験を持っている点も利点です。
他にも効果の高い薬はいくつかありますが、医師によって三種の選択は異なるでしょう。しかし、この三つのうちのどれかは必ず入ることが多いです。インスリンや駆虫薬、抗てんかん薬、痛み止めなどもありますが、使用頻度を考慮すると、この三種類が中心になると考えられます。
とはいえ、この三種で治療すれば良いというほど単純ではありません。重い病気ほど、最初に診断をしっかり行わないと、後に困難に直面したり、将来的に大きな代償を払うことになります。診断前にステロイドを使用すると診断が難しくなることがありますし、動物病院における抗生剤の過剰使用は耐性菌の発生に関与すると言われているため、必要最低限にとどめる必要があります。
ですから、昔のように安易にこの三種で治療することは簡単ですが、現代では治療前に標準的な診断が必須です。
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