ふじみ野市
大井みどり動物病院

2025/09/16

子猫の腸閉塞

ジョイントマットは腸に詰まりやすい
 
 
 
 

 

 
 
埼玉県ふじみ野市の大井みどり動物病院です。
 
 
異物による腸閉塞は数多く経験してきましたが、子犬や子猫で遭遇したことはこれまでありませんでした。誤飲をしても腸が柔らかく伸展性があるため、排出されやすいのだと考えていました。
 
 
実際、子犬がペットシーツなどの異物を食べてしまうことはよくありますが、それによって腸閉塞を起こしたことは今まで一度もありませんでした。
 
 
当院だけでなく、過去に勤務した病院でも子犬や子猫の腸閉塞を経験したことはありませんので、一般的にもかなり珍しいことだと言えるでしょう。
 
 
しかし今回、生後4か月の猫で腸閉塞を経験しました。
 
 
異物は「ジョイントマット」で、近年よく知られた存在です。特に猫は好んで噛んでしまうようです。肉の食感に近く、猫の本能を刺激するのだと予想しています。さらに、噛みちぎって食べるので形も不整のため摩擦による抵抗も加わり、詰まりやすいのかもしれません。
 
 
手術中、閉塞している腸を直接観察すると、閉塞部より手前の腸は4倍ほどに太くなっていました。普通大人の猫ではここまで拡張しません。子猫は腸が柔らかく、ゴムのように伸展しやすいためでしょう。この伸展性ゆえに子猫では腸閉塞が起きにくいのだと、実際に見て納得しました。少々感動を覚えたほどです。
 
 
もっとも、子猫の腸は細く薄く、また子猫の麻酔管理は難しいため、手術自体の合併症リスクは高くなります。そこでご家族にはやや強めにリスクをお伝えしましたが、手術は順調に終了しました。手術をしなければ亡くなっていたでしょう。
 
 
私自身、「子犬や子猫に異物による腸閉塞はまず起こらない」という考えを持っていましたが、今回それが覆されました。腸閉塞を起こす異物として、「ジョイントマット」は他の異物と一線を画するようです。
 
 
犬猫を飼育しているご家庭では、ジョイントマットはとにかく避ける必要がありますので、注意してください。
 
 
また誤飲の背景として、猫は肉食動物であり、本来は獲物を捕らえ、仕留め、噛みちぎって食べるという本能を持っています。その欲求がペットフードでは満たされず、ジョイントマットに興味を示してしまうのではないかと考えています。もし普段からネズミのような獲物を食べ、狩猟本能が満たされていれば、ジョイントマットには関心を示さないのかもしれません。また、ペットフードのような加工した食品をたべていると食べ物と人工物の区別がつきにくくなるのかもしれません。
 
 
うちの犬は誤飲しません。口に入れることがありますが、明らかな人工物を飲み込んだことはありません。骨を含めた肉食ダイエットで育てているからかもしれませんし、慎重な性格なのかもしれませんが、食事との関連は一部あるかもしれません。
 
 
犬猫の医療において原因を突き止めていくと、普段食べているもとのとの関連を示唆することがあります。獣医学が進歩したとはいえ、食べ物についてはAAFCOの基準に準ずることが推奨されていますが、自然な食材としての肉や骨でどうなるか、その情報はあまりありません。
 
 
そのため、その興味ゆえ私の犬は3年以上の間ほぼ完全な肉食ダイエットで育たています。今のところ去勢手術により基礎代謝が減り、すこし太りましたが。健康状態は非常に良好です。すごく貴重な犬でしょう。ちなみにAAFCOの基準は参考にしてはいません。なぜなら、AAFCOの基準は加工されたペットフードに適応されるものであり、自然食では当てはまらないと考えているからです。
 


 


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