ふじみ野市
大井みどり動物病院

2025/10/14

口の中のメラノーマ疑いをどうするか4

戦わない
 
 
 
 

 

 
 
埼玉県ふじみ野市の大井みどり動物病院です。
 
 
 
ただし、症状がある場合、特殊な皮膚病が疑われる場合、リンパ腫が疑われる場合、またはご家族がしこりの正体を知りたい、もしくは除去したいと希望する場合には、手術や治療を行うことがあります。
 
 
ご家族はしこりがあると心配し、手術で取り除きたくなることが多いようです。しこりの正体を知りたいという気持ちや、良性と分かって安心したいという目的で切除するケースはよくあります。
 
 
本物の転移する悪性度の高いがんに対しは勝ち目はなく、かえって治療の副作用により短命になることが多いかもしれません。一方、そのようながん以外はがんだとしても意外と共存できて生命を脅かすことはないように考えています。つまり、「本物のがんになったら諦めて、それ以外なら共存して、がんとは戦わないのがよい」というのがよいかもしれません。つまり、固形がんに積極的な治療はせず、経過観察はひとつのよい選択肢となるかもしれません。
 
 
以上のような、がんを疑うしこり(ほとんどの固形がん)は経過観察が良いという考えをお伝えすることがありますが、一般の方には理解しにくいようです。腫瘍学の教科書にはこのような意味で、「がんとは戦わず、しこりを様子見する」といった記述は一切なく、このような考え方はまったく一般的ではありません。あくまで犬猫の医療においての、個人的な臨床獣医師の視点として、参考程度に受け止めていただければと思います。
 
 
なお、このポメラニアンさんのしこりはやや小さくなり、「進行」ではなく「退行」したと言えます。経過観察中のがんが縮小したり消失したりするケースがあると聞いたことがありますが、その真意は不明です。
 
 
とにかく、このポメラニアンさんのご家族は積極的な治療をせず、経過観察を選び、穏やかな最期を迎えることができたので、良かったです。
 
 


 


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