2025/11/16
大きくなったら
埼玉県ふじみ野市の大井みどり動物病院です。
愛犬や愛猫の体にしこりを見つけて不安になり、受診される方は日常的に多くいらっしゃいます。
体の表面にしこりがあると、最初に多くの獣医師は注射針を刺して細胞の検査(細胞診)をしますが、私はあまり行いません。また、「大きくなったら」検査しましょう、という獣医師も多いですが、私はこの対応を提示することはありません。
実は、しこりが小さく、皮膚内や皮膚のすぐ下にあって、場所的にも取りやすい場合や、愛犬が若くて健康で麻酔のリスクが低い場合は、細胞診をせずに、そのまましこりを切除するのが世界的にも一般的な方法です(Ghisleni et al., 2006)。
切除したしこりを病理検査に出すことで、良性か悪性か、どんな種類かを正確に診断できます。一方、細胞診だけでは、しこりの種類や悪性度を正確に判断できないことが多いです(García-Reynoso et al., 2025)。小さくて取りやすいしこりなら、「診断」と「治療」を一度に済ませられるのがメリットです。
針を刺すことで腫瘍細胞が広がるリスクは、人間では極めてまれ(0.01%以下)ですが、理屈を考えれば、やはり気になりますし、犬や猫のそのリスクの信頼できる報告はほぼありません(Pavel et al., 2016)。現実的なリスクは低いと考えられますが、最初から切除を選ぶことで、その潜在的リスクを完全に取り除けます。
ただし、以下のような場合は事前に細胞診を行うことがあります。しこりが大きい・深い・場所が悪い、悪性が強く疑われる、手術のリスクが高い(老犬・心臓病など)ケースです。(Cray et al., 2022)
一言で言えば、簡単に手術で取れるしこりは、細胞診をせず切除+病理検査が合理的です。(Ghisleni et al., 2006)。
また、犬や猫の皮膚の腫瘤は人に比べるとかなり取りやすく、局所麻酔だけでも意外と簡単に切除できることが多いですので、超短時間で切除が完了する場合も多く、リスクの心配はほぼゼロです。当院では、即日切除することがよくあります。
そうはいっても、実はこのようなしこりは「様子見」でも大きな体への影響はほとんどない場合が多く、何も症状がないなら、そのまま様子見ることも十分臨床的な対応と考えていますが、しこりがあれば早めに獣医師に相談してください。原則的には検査をするのが正攻法です。
そして、必ず、切除したしこりは必ず病理検査に出しましょう。見た目が良性様でも、顕微鏡で調べることで初めて確実な判断ができます。摘出手術は「診断」と「治療」を兼ねる大切な機会です。
よって、獣医師からの「大きくなったら対応を考えましょう」の提示は曖昧でもあり、正しくありません。ご家族がご家族の感覚で「大きくなる」まで様子を見たいと希望されるのは自由ですが、獣医師としてはしこり確認したら、すぐに上記の対応を推奨すべきと考えています。
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