ふじみ野市
大井みどり動物病院

2025/12/19

家でみとる

3億3000万の1
 
 
 
 
 

 

 
埼玉県ふじみ野市の大井みどり動物病院です。
 
 
残念ながら、治療の甲斐なく動物たちが亡くなることは、動物病院の日常の一部です。
 
 
特に重症例で入院中の場合、回復の見込みがないと判断する時期を見極めることが極めて重要です。多くのご家族が、最期の時間を自宅で過ごしたいと望むからです。
 
 
しかし、治療を断念し自宅での緩和ケアへ移行する判断は、簡単なものではありません。それは「治療を諦める」ことと同義であり、獣医師には重大な責任が伴います。終末期の意思決定は個別的で多面的であり、家族の感情的ニーズへの配慮が不可欠です。
 
 
先日、ICUで一進一退を繰り返していたワンちゃんのケースがありました。二週間にわたり治療を続け、ご家族は毎日面会に来てくださいました。
 
 
いつものように午前中に面会された後、昼過ぎに容体が急変。再度ご来院いただきました。その日は日曜日で、普段お忙しい息子さんご夫婦も駆けつけることができました。
 
 
入院室で愛犬を見守り、熟慮されたご家族は、「最後は自宅で一緒に過ごしたい」と決断され、ご帰宅されました。後日、ご自宅で永眠されたとの連絡をいただきました。
 
 
振り返ると、急変のタイミングは病院の診療が一段落した直後でした。人の出入りが少なく落ち着いた院内で、ICU越しに30分ほど面会された後、ご家族は結論に達しました。その間に息子さんご夫婦も到着し、全員が揃った状態で退院を決められました。
 
 
このようなケースでしばしば感じるのは、家族が不思議と揃うことです。今回は病院の落ち着いた時間帯とも重なりました。
 
 
もちろん科学的根拠はありませんが、動物自身が最期の時を調整し、家族を呼び寄せているかのように思えることがあります。例えば、単身赴任のお父様がたまたま帰宅していたり、お子さんが帰省していたり、亡くなった日と家族の告別式が重なるような一致もありました。
 
 
私自身も、ある患者さんをふと思い浮かべた直後にご家族から連絡が入ったり、同じ稀な疾患や手術が連続する経験が複数あります。現在は不思議とリンパ腫が重なっています。
 
 
今回のケースでは、珍しい肺炎での入院に加え、ご家族に人間の呼吸器内科医がいらっしゃったことも印象的でした。AIにこの可能性を訪ねたところ、3億3千万分の1との試算でした。
 
 
こうした一致は、確証バイアスや単なる確率的な事象かもしれません。しかし、長年の経験を重ねるほど、「偶然ではない何か」があるように思えます。現在の科学では説明できませんが、将来的に量子物理学などで解明される可能性もあるかもしれません。
 



参考文献
 
重症例で入院中の動物において、回復の見込みがないと判断する時期を見極めることは、「治療継続が動物のQOLを損なう場合、緩和ケアや安楽死への移行を考慮し、動物の快適さと苦痛の最小化を優先する」とされており、動物病院における重要な判断となります。2016 AAHA/IAAHPC End-of-Life Care Guidelines.
 
多くの飼い主は「最期の時間を自宅で過ごすことを希望し、共感的コミュニケーションと共有意思決定、症状管理、事前指示が重要である」と報告されています。Optimizing palliative care and support for pets – perspectives of the pet-parent and the veterinarian. Frontiers in Veterinary Science. 2023.
 
治療を断念し緩和ケアへ切り替える判断は、「終末期の意思決定は個別的で多面的であり、家族の感情的ニーズへの配慮と共有決定が求められる」とされ、獣医師には重大な責任が伴います。2016 AAHA/IAAHPC End-of-Life Care Guidelines.
 
緩和ケアの目的は「動物のQOL向上と飼い主・獣医師の苦痛緩和を重視する」ことにあり、身体的・感情的・社会的苦痛を和らげることが重視されます。Practical Principles of Palliative Care in Veterinary Oncology: Alleviating the Suffering of the Animal, Owner, and Veterinarian. Veterinary Medicine International. 2024.
 
最期の時をご家族全員で迎えられるよう、「十分な時間と誠実なコミュニケーション、関係性の構築が、家族の満足度やグリーフケアに寄与する」とされています。「Veterinary medicine is not finished when I have diagnosed an incurable disease, that’s when it starts for me.」A qualitative interview study with small animal veterinarians on hospice and palliative care. Frontiers in Veterinary Science. 2024.
 
動物自身が最期の時を調整しているかのような現象については、「動物と家族の絆は、終末期の心理的支えとなり、別れの体験に深い意味をもたらす」と示唆されていますが、現時点で科学的根拠はありません。The role of companion animals in advanced cancer: an interpretative phenomenological analysis. BMC Palliative Care. 2022.


 


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