ふじみ野市
大井みどり動物病院

2026/03/04

高齢犬のBUN

健康診断では特に
 
 
 
 
 

 

埼玉県ふじみ野市の大井みどり動物病院です。
 
 
春の健康診断の血液検査が始まりました。
 
この検査項目の中にはBUNがあります。BUNはタンパク質代謝の最終産物であり、腎臓機能の指標として広く用いられています。
 
このBUN値は加齢とともに自然に上昇する傾向があることをあまり知られていないように感じます。
 
例えば、健康な小型犬を対象とした研究では、年齢が上がるにつれてBUN値が徐々に上昇することが明らかになっています。これは、加齢に伴う腎臓の予備能低下や代謝の変化、筋肉量の減少などが影響していると考えられます。また、ヒトの大規模データでも、BUNは10年ごとに0.2~0.3mmol/Lずつ上昇することが示されており、年齢や性別ごとに基準値を設定すべきだとされています (Liu et al., 2021; Kusaba et al., 2024)。
 
現状、多くの動物病院や検査機関で用いられているBUNの基準値は、若齢~成犬を基準に設定されていることが多く、高齢犬にそのまま適用すると「基準値超え=異常」と誤認されるリスクがあります。
 
実際、健康診断で他の臨床症状や検査値に異常がないにもかかわらず、BUNだけが基準値をやや超えている高齢犬は珍しくありません (Kusaba et al., 2024)。
 
このような場合、年齢変化を考慮せずに一律の基準値で判断すると、過剰な精密検査や不必要な治療につながる可能性があります。
 
さらに、BUNは食事内容や一時的な脱水、ストレスなどの影響も受けやすく、腎臓疾患以外の要因でも上昇することがあります。したがって、BUN単独の軽度上昇がみられた場合は、年齢、食事、体調、他の検査値(特にクレアチニンや尿比重)を総合的に評価し、「年齢相応の生理的変化」として経過観察とする柔軟な解釈が重要です (Kusaba et al., 2024)。
 
このような背景から、BUNの基準値は年齢別に設定することが必要なのですが、動物病院ではまだ一般的ではありません。実際、ヒト医療では年齢・性別ごとに基準値を細かく設定することが一般的になっており、動物医療でも同様のアプローチが求められています (Liu et al., 2021)。
 
つまり、BUN単独の上昇だけで腎疾患と断定せず、他の臨床所見や検査結果と合わせて慎重に判断することが求められます (Kusaba et al., 2024)。
 
BUNが高いだけで、加齢によるものなのかどうかを吟味しないまま腎臓食を始めるケースをときどき目にします。不適切な腎臓食は健康を害する可能性がありますので注意が必要です。
 
動物病院の獣医師はこのBUNには厳しい判定をする方が多いように感じています。
 
 
 


 


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